混じりあう―空間が混じりあう
左三角
前に 上三角目次へ 三角印次へ

サナアの都心居住に学ぶ

都市計画設計研究所 南條 道昌

* * *
みんなでつくるサステイナブルで、 美しく、 心地よい街がイェメンにはある

* * *

画像t084-1 1〜2階は石積み、 3階から上が日干し煉瓦積みのサナアの住宅の形式。

小さな開口部からの光を室内に反射するための窓枠の漆喰が、 外壁に回り装飾デザインとなる(サナア旧市街)

画像t084-2 住宅が集まって路地と小広場と畑とを造っている。

思い思いの窓のデザインが美しい。

どの家も街に参加することを意識している(サナア旧市街)

画像t084-3 このような高層住宅の大集合は、 迷路のような街の構造と相まって、 さながらアラビアン・ナイトの夢の街にいるような感覚を私たちに感じさせてくれる(サナア旧市街の都心)

生きている「街の作法」と「街のくらし」

 サナアは、 人口百万人を超えるイェメン共和国の首都である。

その旧市街は、 高層化した独立住宅(5〜7階建て)とスーク(市場)、 モスク、 ハマーム(浴場)、 緑の畑とが織りなす見事な街を構成している。

   

 江戸時代の日本のような体制のもとで、 イスラームの教義が支配的であるが、 街の人々の間には会話が渦巻き、 一種の倫理観が凛として存在している。

   

 気候風土に合わせた住宅の造りは、 壁が厚く開口部の小さい形式で、 1階が家畜、 2階が穀物、 3階から居室となる。

降るときには土砂降りとなる雨に備える漆喰が、 窓やタクリム窓(半円形の採光窓)の個性ある装飾デザインとなって、 街への参加を極めている。

排泄物と畑、 浴場の燃料との関係は、 自然の循環を保つよう工夫されている。

   

 近代化130年の歩みに、 私たちが忘れ去った文化としての街のあり方、 デザイナーのいないアーバン・デザインがここにはあるように思える。

   

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ


このページへのご意見は前田裕資

都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai

キーワード集メインページへ
JUDIホームページへ
学芸出版社ホームページへ