みんなでつくるサステイナブルで、 美しく、 心地よい街がイェメンにはある
その旧市街は、 高層化した独立住宅(5〜7階建て)とスーク(市場)、 モスク、 ハマーム(浴場)、 緑の畑とが織りなす見事な街を構成している。
江戸時代の日本のような体制のもとで、 イスラームの教義が支配的であるが、 街の人々の間には会話が渦巻き、 一種の倫理観が凛として存在している。
気候風土に合わせた住宅の造りは、 壁が厚く開口部の小さい形式で、 1階が家畜、 2階が穀物、 3階から居室となる。
降るときには土砂降りとなる雨に備える漆喰が、 窓やタクリム窓(半円形の採光窓)の個性ある装飾デザインとなって、 街への参加を極めている。
排泄物と畑、 浴場の燃料との関係は、 自然の循環を保つよう工夫されている。
近代化130年の歩みに、 私たちが忘れ去った文化としての街のあり方、 デザイナーのいないアーバン・デザインがここにはあるように思える。