混じりあう―空間が混じりあう
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道草を誘うマチ・遊歩都市

大阪芸術大学 田端 修

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店飾りや仕事のあふれ出し、 匂いやもの音、 思いがけない遊び場の出現など、 目を惹き足を止めさせる。

道草を誘う町は住んで楽しい町でもある。

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画像t086-1 この町では建築のスタイルや建設時期が異なり、 業種もまたばらばらの小さな店舗がたち並ぶ、 その意外性が心地よさとつながっている(京都市三条通り)
画像t086-2 とつぜん大観覧車に出会って驚かされた。

都心はこのような道行く人の遊び心を刺激するイベントに満ちたマチでありたい(パリ、 リヴォリ通り)

画像t086-3 大通りを避ける歩行者向きバイパス・路地空間は、 巧みな看板類やカフェーなどがはみ出し、 都市との親密な関係を創り出す装置ともなる(ロンドン)

道草を楽しめる共生型のまちデザイン

 学校帰りの道草と仕事の途中の道草が共存し、 そこにお年寄りの散歩が組み合わされるような「老・壮・幼」共生型環境のなかで、 子供たちは世の中を学び、 大人たちは再び夢をみることを思い出すのではないだろうか。

郊外住宅地では体験できない骨董品の店とパチンコ屋と和菓子の製造販売のお店などが隣り合う、 思いもかけない並びに出会い、 時には見慣れない抜け道を発見したりするのが都心居住の楽しみであるといえよう。

   

遊歩都市へ向かう作業

 不思議さに満ち、 歩くことを楽しめる「遊歩都市」をつくるには、 市街地熟成のための歴史的時間が必要だといった言い方もあろうが、 これに近づく計画的方策を考えることも価値ある仕事である。

われわれの都市的経験からいえば、 住宅と業務、 住宅と商業などの異なる用途施設を隣接あるいは近接させる複合・共生環境化によってその芽を育むことができるであろう。

衰退しつつある商店街を共生型まちづくりの視点からリ・デザインする作業もよい。

路地空間の心地よさを「建築空間型街路」として再生するなどの工夫を持ち込むことも可能である。

さまざまな遊歩都市づくりへと向かう作業が試みられるべきである。

   

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このページへのご意見は前田裕資

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