混じりあう―空間が混じりあう
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石畳と階段の小径

都市環境計画研究所 長谷川 弘直

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ビッグスケールの都市は、 喧騒で硬質で乾いている。

そこに、 人間の尺度と手作り感覚でつくった自然的な趣のある素材と空間が見つかるとうれしいものである。

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画像t087-1 建築の前広場と緑に挟まれた石の階段。

江戸時代の淀川から大川へ船着場の跡として今も残る(大阪市天満)

画像t087-2 神木のある階段広場。

大阪と和歌山を結ぶ紀州街道の名残が、 この街に歴史の香りを与えてくれる(大阪市松屋町)

画像t087-3 階段に面して連続する住宅。

生活機能においては大変不便であろうが、 空間としてはうまくなじんでいる(大阪市夕陽ケ丘)

 近代以降、 都市は、 鉄とコンクリートとガラスを主要素としてつくられてきた。

   

 硬質で無機質、 先鋭的な形態と表情の街のなかで、 石の素材とその小空間に出会うと、 場の歴史性へのロマンと素朴な空間に心がなごむ。

また、 階段には、 登りつめたところに「何かがある」あるいは「何かが見える」という期待感が広がる。

   

 大阪の街は、 真平な地形と都市構造で起伏や変化のない街である。

唯一の高台はわずか標高18〜20mの天王寺の上町台地のみである。

   

 そこには、 寺社・仏閣、 下町風情の町屋や町並みが今でも残る。

ヒューマンで味わいある石畳の径や広場には、 歴史・時間の積み重なりが醸し出す慣れ親しんだ皮膚感覚のようなものがあり、 都市居住者の郷愁を呼び起こすのではないだろうか。

   

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