混じりあう―動きが混じりあう
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道の真ん中を歩く

竹中工務店 小川 清一

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都心、 特に大きな駅周辺ではとかく車に呑まれがちである。

歩いて楽しめるまちとはどのようなものだろうか。

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画像t093-1 車のための道路では、 人は脇へと追いやられてしまう。

車道が広く殺風景でもある。

歩車道の境界は段差があるのみで、 ガードレールはない(静岡市追手町)

画像t093-2 商店街の中の道。

歩道が道路全体の1/2以上を占め、 ゆったりとしており、 歩く人のための道という意識が少しある。

樹木・花・彫刻・サインが人々に潤いを与えている(静岡市呉服町)

画像t093-3 夕刻、 人々で賑わう通り。

路面はインターロッキングで敷きつめられており、 「歩く人中心」の道を意識させる。

人々は大手を振って道の真ん中を歩くことができる(静岡市御幸町)

「ヒューマンスケール」

 都心では、 必然的に車中心の道路ができてくる。

車にとっては便利なことだが、 歩く人にとっては殺風景で面白味のない景色となってしまうことが多い。

   

 しかし、 車と人を完全に分けることは難しい。

車のもつ便利さと、 人々の歩く楽しみを共存させるまちづくりが不可欠となる。

   

 そこで、 人が主、 車が従の道を考えてみる。

商店街では、 車道をクランクさせてスピードが出ないようにして歩行者が歩きやすくする。

歩道と車道の境にはガードレールではなく木々、 花、 モニュメント等を使って、 車の人と歩く人両方の目を楽しませる。

路面をアスファルトでなくインターロッキングとするだけで、 「歩く人のための道」という意識をもたせることができる。

   

 道は本来、 車のためのものではなく歩く人のためにあるものだという原点に立ち返り、 車道、 歩道をヒューマンスケールで考えることが望まれる。

まちの中の道の真ん中を大手を振って歩けば、 見慣れた都市の中から新しいものを発見できたりして、 賑わいは自然に生まれる。

車の向こうに新しい都市を見出すこともできそうである。

   

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