市場や商店街などの身近な買い物空間は、 混沌とした賑わいと生活臭を漂わせる人々のふれあい、 そしてゆるやかな個の集合による半公共空間としての魅力をもっている。
通路にはみ出した商品や看板・幟などと、 談笑しながら歩く買物客たちの賑わいが延々と続く(神戸市兵庫区東山市場) | |
万国旗や造花などによる過剰な空間ディスプレイが連続する混沌とした楽しさをもっている(神戸市中央区大安亭市場) | |
ガード下の店舗の集合体は、 ゆるやかなつながりをもつ半公共空間として魅力的である(神戸市中央区大安亭市場前) |
都心居住を快適にするためには、 「都市の仕掛け」とでもいえる市場や商店街などの不思議な魅力をもった買い物空間が必要である。
それらに空間としての計画性があるとすれば、 店舗間の路地的通路とエントランスの位置くらいで、 後は地割り的な店舗配置計画ぐらいか。
しかし、 その混沌とした賑わいは、 無意識に、 連続的に繰り返される商品等の通路側へのはみ出しや、 看板・のぼり・万国旗・造花などによる過剰な空間ディスプレイ、 さらに買物客の行動の無秩序性に原因があるように思われる。
店頭に並べられている様々な商品や店頭で作られ販売される雑多な食べ物の強烈な臭いは、 日常的な生活臭となって空間を漂い、 その中を飛び交う買物客を呼び込むさけび声など、 人々のざわめきが延々と続く。
市場や商店街などのゆるやかな集合体は、 意図的に計画されていない半公共空間として、 混沌とした楽しみと賑わいがあり、 生活感の漂う人間くささが充満し、 管理されつくしていない自由な雰囲気と不思議な魅力をもっている。
プランナー知らずの買い物空間は楽しい。