われわれは「都市は変わるもの」と思い込んできたところがある。人が住む場所は変わり過ぎないほうが好ましいのではないか。
変化を抑制する環境デザインの手法開発が必要だ。
とりわけ高齢者にとっては、 環境の急激な変化は、 不安を醸成し、 さらに精神的・肉体的な打撃にもつながる。
このような意味からは、 まちの中心となる風景や見慣れた形を維持・保全することは、 安心して住むための条件であり、 結果として住みやすさの増大につながる方策でもある。
変動のエネルギーの強い都心ではこのことにいっそうの関心を払い、 対応すべきである。
「つくっては壊す」を繰り返すスクラップアンドビルド方式から、 ストックをつくる都市環境デザインへと方向転換をはかる必要がある。
通時的連続性の感覚を生み出す環境デザイン手法の開発、 修復型の建築物や市街地形成に人びとを誘導する魅力的な都市デザイン手法の整備などを進めなければならない。
また同時に、 使い手や求められる機能が変わっても使い回しのできる都市づくりの論理とデザインも必要である。