混じりあう―怪しさが混じりあう
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用途の純化は都心の魅力を減らす

アーバンスタディ研究所 土橋 正彦

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用途が混在していれば夜もゴーストタウンにならず、 色々な時間に様々な人々が往来し、 昼も夜も好奇心を刺激する体験や出会いが生まれる町になる。

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画像t111-1 デベロッパーが開発するビジネスセンターは清潔で美しく作られるが、 どこか物寂しい(ダラス、 ラスコリナス)
画像t111-2 住民がいて工場もある下町には、 小綺麗とは言い難いがなぜか人を引きつける魅力がある(大阪市西淀川)
画像t111-3 ホテルという疑似住宅と、 観光客という疑似住民で賑わう都心の水辺(サンアントニオの都心)

 世界中の著名なプランナーやデザイナーの知恵を集め、 大資本を投下して作られるビジネスセンターでも、 どこかはやらない遊園地のような雰囲気が漂ってしまうことがある。

レストランやまちの通りはお昼時以外は人気が無く、 遊び回る子供や犬をつれて散歩する老夫婦も見られない。

あげくに空気だけ載せた全自動ピープルムーバーが、 高架の軌道を走り回る。

   

 大都市の下町には、 清潔で立派なビジネスセンターとは異なった活気がある。

若い住民が減っているとはいえ、 朝から晩までいろいろな人々がいろいろな早さで歩き回り、 また立ち話をしたり公園でキャッチボールをしたりしている。

まちが生きている。

   

 観光都市、 コンベンション都市を標榜するまちのなかには、 都心にホテルという疑似住宅を集積させ、 観光客という疑似住民を住まわせて、 とびきりの賑わいを見せているところがある。

そうしたまちでは都心生活を気軽に疑似体験できる仕組みが巧妙に準備され、 活気のある都心の風景が演出されている。

   

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