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高密な都心では建物のすき間が極めて重要な意味をもつ。すき間はみちであり、 広場・緑地であり路地である。
そして水路も。
こうした空間が無ければ、 都心生活は悲惨である。
都心居住の大半は積層集住にならざるを得ない。
しかも自住戸は資金力がない限り、 中々大きくはできない。
その狭い生活空間を補うのが外部の共用空間、 即ちすき間である。
このすき間が豊かであればあるほど、 都心居住の住み心地は良くなる。
すき間も大小、 長短、 広い狭いがある。
マンハッタンのセントラルパークやボストンコモンなどは、 超高密都心の生活を支える広大な緑と憩いのすき間である。
ところが、 すき間は大きければいいというものでもない(夜は物騒になる等)。
光を通し風を運び、 高密感を和らげ、 憩いの小空間を提供する適度なスケールのすき間がたくさん欲しい。
例えばみちも、 騒がしい表通りに対して、 安心して歩ける一筋ウラの生活みちとか、 近所の人達の声がはずむ小さなひろばとか路地は居心地がいい。
ポルティコのみちにはリズムがある。
地価の高い都心で土地を買ってまでは造れないが、 容積のオマケでできる、 ちょっとした公開空地でも、 デザインの工夫で見事なポケットパークが造れるはず。
そうした小さなすき間をたえず散りばめ積み重ねることで、 大きな都心を住み易いものに変えてゆけるはずである。