連鎖するデザイン―ストラクチャー・デザイン
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車に頼らず生活できるまち

アーバンスタディ研究所 土橋 正彦

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徒歩と公共交通で用が足りる都心のライフスタイルは、 地球の環境にも優しい。

それは郊外へのスプロールを抑え都市近郊の景観の混乱も救う(かもしれない?)。

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画像t123-1 町中を網の目のようにカバーする路面電車があれば、 階段が多い地下鉄や時間があてにならないバスだけよりもずいぶん便利なまちになる(ウィーン)
画像t123-2 自転車で用が足せるまちにするためには、 専用レーンや駐輪施設といったハードウェアが不可欠である(アムステルダム)
画像t123-3 疑似都市とも言えるテーマパークには、 楽しく歩くための仕掛けがいろいろ用意されている(ハウステンボス)

 都心にはいろいろな施設が集積し、 公共交通も発達している。

したがって、 都心に住むことができれば車に頼らない生活が可能になる。

とりわけ、 往復数時間という通勤時間のロスを省くことができ、 平日のアフター・ファイブに都心ならではの文化的?なひとときを過ごしたり、 家族がふれあう時間を増やすことも可能になる。

   

 ただし、 都心の交通インフラの現状は郊外と都市を結ぶ機能に傾きすぎかもしれない。

主役の地下鉄は駅間距離が長く、 しかも地下深く潜っているために建物数階分もの階段を上り下りしなくてはならない。

都心のバスは地下鉄との役割分担が中途半端で、 運行時間も乱れがちである。

道路から簡単に乗れる路面電車は地方都市でわずかに命脈を保っているにすぎない。

幹線道路を横切ろうとすれば横断歩道橋をわたらなくてはならない場所も多い。

自転車は便利だが専用レーンは形だけのものしかないから、 歩道を走って歩行者に睨み付けられる。

歩いたり車イスを使ったりすれば、 歩道の横断勾配がきつくて危なかったり、 電信柱が邪魔になったりもする。

   

 日本の大都市の大きさは、 平均的な市民感覚からするとかなりスケールアウトしたサイズになっている。

しかし、 もう少しの工夫で車に頼らない生活ができる可能性を持っている。

   

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