都市空間は、 時間の連鎖の上に形成される。1つだけの建物では出来ない空間づくりが、 両隣を巻き込めば出来ることがある。
それが連鎖すれば景観をつくりだす。
美しい街並みには、 共通の要素がある。
ファサードのデザイン、 屋根、 色彩、 素材、 高さ等々、 時間をかけて造られた連鎖のデザインといえよう。
歴史的景観を残す街は、 出来るだけそれを保全し、 活用しながら新しい街につないでいく努力が要る。
新しい街のイメージを創り出す建築もある。
代官山に出来たヒルサイドテラスは、 25年間にわたって少しずつ増築され、 土地に残る歴史(地形や古墳、 樹木やお地蔵さん等)を取り込み、 高層化を抑え、 みちに面して広場を配し、 新たな街並みを創り出した。
近隣にそれがゆっくり波及連鎖してゆく。
オープンスペースの連鎖は、 街を歩く人達を楽しませる。
隣りどうしの高層ビルが、 足元のスペースを寄せ合ってペア広場を造れば、 大きな緑の空間が可能になる。
横浜のペア広場づくりだ。
大阪では、 公開空地の連鎖を誘導している。
これらには、 容積のオマケが付く。
狭い街路が広くなり、 緑の並木が繋がれば、 歩行者を喜ばす。
しかし高層ビルの前庭としか思えない公開空地もあり、 設計者のセンスを疑う。
生活都心に必要なひろばは、 大きくても領域を守り易いデザインが必要であり、 小さくても連鎖すれば大きな効果を生む、 価値多い空間となる。