連鎖するデザイン―ストラクチャー・デザイン
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連鎖による生活都心のデザイン

住宅・都市整備公団 千葉 桂司

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都市空間は、 時間の連鎖の上に形成される。

1つだけの建物では出来ない空間づくりが、 両隣を巻き込めば出来ることがある。

それが連鎖すれば景観をつくりだす。

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画像t126-1 時間をかけ、 幾つもの建物を連続してデザインし、 街のイメージを創った都心住宅のモデル(東京都代官山ヒルサイドテラス)
画像t126-2 公開空地はオープンである必要はない。

写真は超高密のマンハッタンで、 隣接した3つのインナーオープンスペースが連鎖してとられ、 人々が憩う例(ニューヨーク、 IBMビル)

画像t126-3 大阪の適塾は修復され、 隣接した公開空地の緑に囲まれ相乗効果をあげている。

それにしても電柱と違法駐車はどうにかならないものか(大阪市適塾周辺)

 美しい街並みには、 共通の要素がある。

ファサードのデザイン、 屋根、 色彩、 素材、 高さ等々、 時間をかけて造られた連鎖のデザインといえよう。

歴史的景観を残す街は、 出来るだけそれを保全し、 活用しながら新しい街につないでいく努力が要る。

   

 新しい街のイメージを創り出す建築もある。

代官山に出来たヒルサイドテラスは、 25年間にわたって少しずつ増築され、 土地に残る歴史(地形や古墳、 樹木やお地蔵さん等)を取り込み、 高層化を抑え、 みちに面して広場を配し、 新たな街並みを創り出した。

近隣にそれがゆっくり波及連鎖してゆく。

   

 オープンスペースの連鎖は、 街を歩く人達を楽しませる。

隣りどうしの高層ビルが、 足元のスペースを寄せ合ってペア広場を造れば、 大きな緑の空間が可能になる。

横浜のペア広場づくりだ。

大阪では、 公開空地の連鎖を誘導している。

これらには、 容積のオマケが付く。

   

 狭い街路が広くなり、 緑の並木が繋がれば、 歩行者を喜ばす。

しかし高層ビルの前庭としか思えない公開空地もあり、 設計者のセンスを疑う。

生活都心に必要なひろばは、 大きくても領域を守り易いデザインが必要であり、 小さくても連鎖すれば大きな効果を生む、 価値多い空間となる。

   

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