連鎖するデザイン―ストラクチャー・デザイン
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アーバン・ヴィレッジの必要性

大阪大学 鳴海 邦碩

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市街地に組み込まれてしまった〈村〉。

そこはあたかも〈村〉のような空間性を残し、 そこには人間のさまざまな生活パターンが同居している。

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画像t128-1 都会という広がりにとじ込められた野田の村(大阪市福島区野田)
画像t128-2 明治18年ごろの大阪の市街地と西野田村
画像t128-3 日本の大都市の市街地は多かれ少なかれ村的である。

マレーでは、 カンポンあるいはカンプンという。

真に都市的なものはそこにあるのかもしれない(大阪市鶴橋)

 グリニッジ・ヴィレッジ。

ニューヨーク、 マンハッタン島の南端にあり、 かつて〈芸術家村〉として名をはせた。

その安い家賃と一風変わった空間性は、 新しい都市文化のインキュベーターになった。

ベンチャービジネス、 ベンチャーライフの拠点というわけだ。

   

 大阪市福島区野田。

かつては西野田村という集落であった。

今でも住民たちは自分たちの町を〈村〉と呼ぶ。

これもアーバン・ヴィレッジの一つ。

サーファーブームのなかで生まれてきたアメリカ村もそうだ。

例えば石橋界隈などの学生街もアーバン・ヴィレッジ的な性格をもつ。

   

 こうした空間ないし領域は、 大きなデザイン行為ではできないように思う。

小さなデザイン行為の寄り集まりか、 非デザインの寄り集まり。

開発するというよりは、 保存する。

あるいは、 開発を拒絶する。

しかし、 グリニッジ・ヴィレッジがそうであったように、 このような空間も段々希少価値が出てきて、 家賃が上がる。

そうすれば村人はまた移動しなければならない。

   

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