市街地に組み込まれてしまった〈村〉。そこはあたかも〈村〉のような空間性を残し、 そこには人間のさまざまな生活パターンが同居している。
都会という広がりにとじ込められた野田の村(大阪市福島区野田) | |
明治18年ごろの大阪の市街地と西野田村 | |
日本の大都市の市街地は多かれ少なかれ村的である。 マレーでは、 カンポンあるいはカンプンという。 真に都市的なものはそこにあるのかもしれない(大阪市鶴橋) |
グリニッジ・ヴィレッジ。
ニューヨーク、 マンハッタン島の南端にあり、 かつて〈芸術家村〉として名をはせた。
その安い家賃と一風変わった空間性は、 新しい都市文化のインキュベーターになった。
ベンチャービジネス、 ベンチャーライフの拠点というわけだ。
大阪市福島区野田。
かつては西野田村という集落であった。
今でも住民たちは自分たちの町を〈村〉と呼ぶ。
これもアーバン・ヴィレッジの一つ。
サーファーブームのなかで生まれてきたアメリカ村もそうだ。
例えば石橋界隈などの学生街もアーバン・ヴィレッジ的な性格をもつ。
こうした空間ないし領域は、 大きなデザイン行為ではできないように思う。
小さなデザイン行為の寄り集まりか、 非デザインの寄り集まり。
開発するというよりは、 保存する。
あるいは、 開発を拒絶する。
しかし、 グリニッジ・ヴィレッジがそうであったように、 このような空間も段々希少価値が出てきて、 家賃が上がる。
そうすれば村人はまた移動しなければならない。