連鎖するデザイン―エンバイロメント・デザイン
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森の中の公共施設

鳳コンサルタント 佐々木 葉二

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市役所や図書館など都心の公共サービス施設が森の中にあれば、 公共施設はかつての鎮守の森と同じように親しみのある都市の共有風景となる。

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画像t136-1 公共サービス機能をもつ場所が、 視覚的にも精神的にも人々の記憶に残る自然環境に包まれていれば、 そこは、 市民にとって機能のシンボルだけではなく、 愛着のシンボルとなる(オークランド)
画像t136-2 森の中の公共施設は、 人々に四季の美しい変化を教え、 そこで開かれるイベントへの関心を積極的に刺激する社会的コミュニケーション装置となる(ボストン)

シンボルの中に機能を、 公共施設を森の中に

 都市を「自分たちのふるさと」として意識するのは、 小さな喫茶店とか、 街角のパン屋などで体験する楽しい感覚の積み重ねを通じてが多い。

   

 それは、 人との接触が少ない都心では、 商業などサービス施設によってのみ、 わずかにコミュニケーションが成立しているからだろう。

   

 しかし、 市役所や図書館、 市民ホールなど社会的な結びつきや公共サービス機能をもつ場所が、 鎮守の森のように、 視覚的にも精神的にも人々の記憶に残る自然環境に包まれていれば、 公共施設は機能のシンボルだけではなく、 市民にとって愛着のシンボルとなる。

   

 市役所はケヤキの森の中にあり、 桜の森の市民ホール、 イチョウの森の図書館があれば、 都心の公共施設は、 市民に四季の美しい変化を教えてくれ、 自然環境へのつながりと、 そこでひらかれるイベントへの関心を積極的に刺激する社会的コミュニケーション装置に変貌する。

   

 このように、 公共施設が都市のサブカルチャーを生みだす多様性を持っていることこそが、 都心への愛着とコミュニケーションを深める基盤となるだろう。

   

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