21世紀は高齢社会。都市の中の公園やオープンスペースが、 高齢者にとって心安まる空間に整備されていますか?
都市のポケットパークで、 全ての人が憩うランチタイム(サンフランシスコ、 ダウンタウン) | |
車椅子からも鑑賞しやすい形状となったレイズドベット花壇(兵庫県伊丹市「荒牧バラ公園」、 設計:SEN環境計画室) | |
弱視者に配慮し、 黄色を主体とした植裁計画(シカゴ植物園センサリーガーデン) |
わが国は、 21世紀初頭、 4人に1人が65歳以上という世界に類を見ない超高齢社会に突入する。
そのような社会状況の中で、 都市の中のオープンスペースや公園は、 高齢者にとってヒーリング(癒し)の空間として機能するよう整備が進められているだろうか。
高齢者対応と思われるステンレス製の手すりの付いた階段や、 スロープは確かに多くなった。
しかし都市の中の緑の空間や、 ポケットパークへの配慮はまだまだのようである。
高齢者への配慮とは「年寄りのための空間」を作ることではない。
「年寄りにも使える空間」を作ることである。
このようなデザインをユニバーサルデザインと呼ぶ。
これは、 別名デザイン・フォー・ライフスパンと言われ、 一生を通じて使えるデザインと考えられている。
高齢者のためだけの空間は、 都市の中で奇異なものになりかねない。
子供、 若者、 壮年と高齢者が、 同じ空間を普通に共有することで、 初めて高齢者にとっても快い空間となり得る。
車椅子に乗っていても花を鑑賞しやすい花壇や、 視力の減退に対応した植栽計画など、 ユニバーサルデザインは、 設計段階でのわずかな心遣いで実現が可能となる。
高齢者が都市の中で暮らしやすい空間整備を行うことは21世紀に向かい急務といえるであろう。