連鎖するデザイン―ハウジング・デザイン
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立体路地による下町再編

日本大学 松迫 茂樹三浦 裕二

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コミュニティー道路の理念と向う三軒両隣の構造を複合建物の内部に取り入れ、 路地空間の復活と下町コミュニティの再編を図る。

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画像t142-1 江戸、 東京約400年の歴史を引継ぐ下町神田。

路地に育まれてきた“向う三軒両隣”の繋がりが町の繋がりを持たせ、 永年この町を支えてきた

画像t142-2 “コミュニティー”の語源を元に、 一つの町を形成すべき種々のコミュニティー施設を傾斜式の立体路地で連続的に繋ぎ近未来の複合建物を体系化した
画像t142-3 約1kmの立体路地を挟んで、 個々に空地を持った施設がお互いに向き合う形で連なっている。

そこには、 これまでにない人と人との繋がりが生まれる

町を育てる「向う三軒両隣」の繋がり

 下町を支えるエネルギー、 それは人と人とを繋ぎとめる町の構造から生まれる。

   

 約400年の町割りの形態を引き継ぐ神田。

かつて表通りには卯建を構える表店、 裏通りには路地を挟んで九間棟割長屋が連鎖的に並んでいた。

その構造から“向う三軒両隣”という下町共同体としてのコミュニティが育まれ、 江戸の大火を始め、 帝都復興・震災、 戦災そしてバブルなどの建てては壊される災難にも耐え、 根強く生き残ってきた。

   

不干渉の町を形成する複合建築物

 近年、 下町の再開発から生まれる複合建築物には、 住居を始め店舗、 事務所、 地域サービス施設などが組み込まれる。

しかし低層部は店舗・事務所、 上層部は住宅のように分離された機能化一辺倒の構造により、 フロアー間の繋がりも建物一体としてのまとまりも、 また地域住民との交流さえも無くしている。

こんな所に長居する住人は数少ない。

   

「ふれあいと不干渉の両立」した都心住空間

 “コミュニティー”の語源をコンセプトに、 屋上から地下階に至る種々のコミュニティー施設を緩い傾斜式の路地で連続的に繋ぎ、 一つの町を形成する複合的な建物を提案する。

棟内のレイアウトは、 都心居住の前提条件でもある“ふれあいと不干渉の両立”を満足させるため、 住戸の間には隙間を設け、 それぞれ施設を独立させた上で、 かつての昭和の初め、 神田の町を一世風靡した看板建築風の店舗兼三世代住宅も連ねていった。

   

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