連鎖するデザイン―ハウジング・デザイン
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町屋型積層集住のスケール

現代計画研究所 江川 直樹

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芦屋のように適度に用途・建物規模が混在したまちは、 人間を感じさせる気持ちの良いまちだ。

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画像t144-1 間口の狭い、 しかし気持ちの良いスケールの併用住宅が建ちならぶ街なみ(アムステルダム)
画像t144-2 町屋的なマスボリューム配分を考えると、 混在型の空間の構成になっていく。

どこが積層集住なのかが解らないほどである(若宮地区改良公営住宅への提案)

画像t144-3 空地空間も、 たとえそれが公営住宅の敷地であっても、 まちの環境の構造、 骨格として考えるべきであり、 空地空間の配置にこそ最大の意味がある(若宮地区改良公営住宅への提案)

 近年、 とみに人間の過剰な衛生志向が鼻につく。

過度な虫ぎらいや、 きれい好きが人間の免疫性を低下させ、 人間の滅亡すら想像させるほどである。

(と思うのは私だけであろうか?)。

   

 人間とは、 いや生物とは適度な混在性のなかにその存在の意味や価値があるのであって、 そうでなければ種は滅びるのみである。

生物(植物?)の生態学的最適条件を〈競争・共存・我慢〉と言っている学者がいるが、 本当にそのとおりだと思う。

人間(生物)は、 勝ちきってしまってはいけない(滅びるのみ)のだ。

   

 まちについても同じことが言えよう。

1種低層地区に独立住宅ばかり、 2種住宅専用地区は積層集合やタウンハウスばかりというのは、 人間にとって、 楽しいまちにとって、 過剰な衛生志向のようなものである。

   

 震災で壊滅状態になった芦屋・若宮の復興計画では、 改良住宅地区として再生すべく住民との協議が進められている。

当初、 行政サイドから提示された全面積層集合化による改良住宅ではなく、 地区内の土地の交換等はあるものの、 比較的小さな単位に分散された集合住宅用地と一般独立住宅(残存、 代替)との混合のまちをつくっていこうという発想だ。

なかなかにおもしろいまちができそうだ。

   

 スケールやマスボリュームの面からも、 町屋的集合住宅が建ち並ぶ混在のまちにしていきたいものである。

   

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