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許せる仮想世界、 許せない仮想世界

生活環境問題研究所 山本茂

 
凡例: ○−許せる、 ×−許せない

 
画像ya1ハウステンボス(長崎県佐世保市)   ○
 オランダのまちなみを再現した、 東のディズニーランドと並び賞されるテーマパークです。 パンフレットに「『人と自然が共存する街』をテーマに、 新しい都市のあり方への提案として誕生しました」とあります。 そう言われるまでもなく、 質の高い個々の“つくり”と街並みの“それらしさ”が観るものに満足感を与え、 決して「にせもの」と言わせません。

 

 

画像ya2高山の街並み(岐阜県高山市)     ○
 保存修景され、 観光客で賑わう高山の街並みです。 一目で高山と分かるほどアイデンティティの感じられる街並みです。 しかし、 この街並みは「高山風」に修景(整形手術)されたものであること、 そして「高山まがい」のものも氾濫していることを忘れてはいけません。 でも、 高山はいつ行っても心地よい印象を与えてくれる街です。

 

 

画像ya3白猪谷の堰堤(愛媛県)        ×
 山間部の河川につくられたレリーフ入りの堰堤です。 コンクリートの無表情で冷たそうな印象をやわらげようと、 紅葉とイノシシ(多分、 川の名前からイノシシを用いている)のレリーフを施しています。 リアルさを演出しようとして、 周りの風景になじめず、 失敗している仮想空間の好例です。 イノシシもこれを見て恥ずかしいと思うでしょう。

 

 

画像ya4宝塚歌劇の舞台(兵庫県宝塚市)    ○
 出演者が女性ばかりの宝塚劇場の仮想的世界です。 どぎつい化粧の男役と娘役のやりとりが気持ち悪いという人もいます。 しかし、 昇華された男女の世界がつくられていると考える人には、 リアリティのある仮想世界です。 厳しい訓練に支えられた演技がリアリティをさらに高めます。 しかし、 劇場を一歩出れば、 リアルな現実世界に戻ります。

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