大地への取組み
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「ノラ」について

改行マークこのムラの外側に、 田畑が広がっています。 その田畑が、 ノラという言葉で表されます。 ノラは早い段階から各家々の耕作する土地として分割されていました。 近世以降であれば、 農家がそれぞれ自分の持つ田畑で、 自分で耕作していました。 それにもかかわらず、 この田畑はムラとは違ったのです。 ムラ内の屋敷は、 非常に私的な、 一つの不可侵性を持った存在でした。 そこは、 完全に自分の世界であり、 他者の侵入を許さない世界です。 それに対してノラは、 それぞれが分割して所有され、 耕作され、 収穫物もそれぞれの農家のものであるのですが、 それにもかかわらず、 完全に私的な独占の場ではなかったのです。

改行マークそれは何故かについて、 稲作には水が必要であって、 水は誰のものでもない共有の水源から共通の用水路を使って分配するから、 私的な権利を貫徹できなかったといわれました。 それも確かに事実ですが、 私はノラにはまた別の原理があったのではないかと思います。 要するに、 元々みんなのもの、 あるいは共通に開発し、 共通に維持してきたものという意味合いがそこにはあったということです。

改行マークノラは、 田んぼとか畑を指します。 例えば、 ノラ着を来てノラ仕事をして、 お昼にノラ弁当を食べる、 というのがノラなのです。 ところが、 もう一つ、 ノラ猫とかノラ犬という単語もあります。 ノラ猫とかノラ犬というときのノラは、 誰のものでもない、 誰も飼っていない、 主がいないということです。 これは誰のものでもない、 主のいない、 そういう土地としての性格を、 ノラ猫やノラ犬の「ノラ」が受け継いでいるということです。

改行マーク村のお堂だとか、 村の色々なところに誰の犬でもない犬がいて、 子供達が相手をしているという、 そういう犬がいたということはよく報告されています。 ノラ犬、 ノラ猫は、 単なる野犬ではないのです。 それが、 「ノラ」という言葉の中に含まれています。 これは、 家々が密集しているムラの外に広がる一つの地域です。

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