大地への取組み
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村境の概念について

改行マークムラ、 ノラ、 ハラという形で、 同心円的に自分たちの世界を作って、 それぞれから、 一定の自然を自分たちの生活に組み込み、 同時に恩恵を受けてきたわけですが、 その中で、 自分たちが自然から割き取って、 完全に自分たちのものにしようと努力してきたものが、 ムラという領域だったわけです。 ムラとその外側では、 全然意味が違ったと考えられます。

改行マークノラは、 自然の恩恵としての穀物を手に入れる、 野菜を手に入れるということになりますし、 まして、 ヤマは、 そういう点では、 数十年での周期での恵みを、 山の幸として受けるところであるわけです。

改行マークそれに対して、 ムラは完全に人間が支配するところです。 人間の支配するところを、 その外から守るという点で、 私たちは、 村境というものを色々と設けてまいりました。 最初に申しましたように、 私たちは集落のまわりを土塁とか、 城壁とか、 堀とかで囲うということをしてきませんでした。 しかし、 自分たちが割き取って作りあげた世界を守るということはやってきたわけです。 それが、 村境という観念です。

改行マーク村境は、 村のまわり全部にあるものではありません。 村境は線ではなくて、 点でした。 道路がよその地域から村に入る場所、 道路がノラからムラに入る地点が、 村境です。 道路がいくつあるかによって、 村境の数が違ってきますが、 普通、 よそのムラとの結節という意味でいけば、 二つとか、 せいぜい三つぐらいでした。 その村境において、 氏神、 鎮守とか、 田の神とか、 山の神とは系統が違う象徴的なものを設定して、 それによって守ろうとしてきたわけです。

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