大地への取組み
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大地に対する基本的な考え方と
その図面表現
私のプランニングのやり方は、 まず現況の地形をしっかりと見ていくことです。 そして、 現況を保存できる場所は可能な限り保存する、 無駄な造成はしないということです。 無駄な造成をしないということは、 土地造成の世界ではコストがかからないということにも繋がります。 また、 大地が持っている、 自然だとか、 歴史だとか、 水系の問題などの様々な要素を無にしないということでもあります。
それから、 もう一点は、 現況保存といっても、 全体のまちの系の中や自然の中での残り方が問題だということです。 細切れに残しても、 そのまま継続して残り得なくなってしまいます。 だから、 残る部分を非常に重視するという考え方をしています。 昔、 芦原義信さんが、 都市の中の建物の残空間がどういうふうになるのかよく見ましょうということを言われていたと思いますが、 そういう「残そうという空間」や「残っている空間」の意味をしっかり作りあげていきたいという考え方を取っています。
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図4 1/5,000の表現
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では、 こういった作業は、 どういう縮尺の図面でおこなわれるかということですが、 私の経験から言えば、 1/5,000というスケールの図面では、 なかなか難しいと思っています。 日頃1/2,500とか1/1,000のスケールで作業していても、 なかなか表現しきれないと思っていますから、 1/5,000では、 がんばっても図4くらいの表現が限界であろうと思います。
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図5 1/2,500の表現
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これが1/2,500ぐらいの図面になると、 図5ぐらいの表現が可能になってきます。 こうなると、 地形への対応の仕方がぐっと変わってきます。 ただ、 1/2,500の図面では確かに表現はできますが、 人間が感覚的に分かる表現とは若干異なるところがあります。 どうしても抽象化される部分が出てきますので、 一般的には1/1,000ぐらいの図面がこういった作業には適しています。
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図6 1/25,000の図面での検討でコンセプトを決めてしまって良いか
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一般に、 図6の図面の段階で、 いろいろなことを決めてしまうケースが多すぎます。
特に委員会方式の時などに、 現況の情報がまだしっかり読み切れていない段階で、 街の開発のコンセプトだとかテーマあるいは一種の軸線を次々と決めてしまうということがあります。 後でよくよく見てみたら、 必ずしもそうではなかったというケースもあって、 そういう意味では、 この段階で決める内容やレベルをどうするのかが重要だと思っております。
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