先ほどの、 三好ヶ丘中央地区の図面ですが、 道の形がおもしろいと思いました。 通常、 道にはヒエラルキーがあって、 縦横に太い道路があって、 そこから枝分かれするという形なんですが、 これは独特な形状をしています。
現地に行きましたら、 必ず真ん中の緑地、 街区公園にぶつかるという意味で、 秩序感は出ています。 逆に、 こういうちょっと癖のある地形になじんでしまうと、 身近に感じるといいますか、 直線的に作られたまちでは味わえない不思議な雰囲気があります。 この道の付け方について、 何か決め方があったのなら教えていただきたいと思います。
成瀬:
ここには、 1km以上先に名鉄『三好ヶ丘駅』がありますが、 既に近辺では住宅地開発は完了し、 小学校もあって人々の生活が始まっています。
先ず、 ここまでの生活動線としては、 西寄りを南北に貫通し鉄道駅と学校・公園へ至る歩行者のメイン動線に対して、 南と東へ抜けるサブ動線を組み込んだということです。
一方、 自動車動線に対しては約420戸ほどの街区サービスに、 あまり広い道路は必要ないだろうということです。 単断面の8mぐらいの道路でサービスして、 歩道や歩行者専用の道を作るというほどでもなく、 沿道環境で楽しさが出ればいいと考えました。
こうした自動車・歩行者の動線をチェックしていきますと、 真ん中が全ての経過地点になりそうだと分かりましたので、 中央部に大きな街区公園(約5,000m²)を1ヶ所配置しています。
よく宅地開発のマスタープランで、 幾何学中心や現況のみどりが残っているところに街区公園を置いたらいいんじゃあないかという発想があるのですが、 私は、 人の動きを検証して、 あらゆる動線が集まってくるハレー彗星の核のようなところに地域の公園があるのが、 全ての人たちのためになるだろうと考えています。
中村:
ということは、 もともと街区公園をここにしようという話ではなくて、 あとから決まっていったことということでしょうか。
成瀬:
そうです。 手順的には、 人の動きをさんざんトレースしたあとに、 一番いい場所を決めました。 あと本地区の“ゲート的空間”に、 この街区の南西の角に小さな緑地状の「広場公園」を設けています。
道の作り方
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