大地への取組み
左三角
前に 上三角目次へ 三角印次へ

起伏と建築−アルカディア

横山

画像ega18
アルカディア21 築山に囲まれた広場
画像ega19
アルカディア21 樹の影が築山の上を柔らかく動く
改行マーク私は、 いろんな江川さんの作品を拝見しているのですが、 特にアルカディアの計画が印象深いのです。 私は、 はじめて、 スライドを見せていただいたときにとても感動して、 現地にも何度も行かせていただきました。 最初は、 冬でした。 芝が枯れた寒々とした冬の景色の中で、 ここちよい日溜まりを体験しました。 春や、 夏にも訪れて、 様々な表情が住宅街にあるのはとても素敵だなあと思いました。

改行マークあれは、 どういう風に考えられて作られたんでしょうか。

江川

改行マークアルカディア21というのは、 21戸で構成されている住宅街区です。 21世紀の住宅街区のモデルとして、 一般に展示公開し、 その後、 分譲したものです。 街区の中央にある広場は、 それ自身傾斜していますし、 形としても、 周囲には築山というように起伏を作っています。 四季や時間の変化の移り具合、 映り具合とか、 風の流れとかいったことを出来るだけ感じてもらえるように考えています。 横山さんがその辺を感じて下さったのならとてもうれしいです。 ただ、 住民の人や、 その周辺に住んでいる人に感じてもらうことが大切ですが・・・。 あそこで、 僕は、 住宅自体は1軒も作っていないのですが、 やっていることは、 かなり建築的な行為だと思っています。

改行マーク木漏れ日や日溜まり、 夏の緑陰といったことが重要ですから、 主にカツラの木を植えています。 もちろん、 カツラがあの土壌に合うというのを確認した上ですが。 カツラは、 春には柔らかい芽吹きがあり、 夏には大きな陰を作り、 秋には美しく紅葉し、 冬には葉が落ちる。 この場所にふさわしい、 自然との応答、 大地との対話を表現したかったということです。 ピンコロ石のヨウ壁に傾斜をつけてコケが生えるとかもね。 そのほかにも、 昔の住宅だったら植えていたような桐の木なども植えています。 将来、 どんな風になるか楽しみですね。

画像ega20
アルカディア21 住民が所有・管理している芝生広場
改行マーク街区の中央の、 築山のある広場、 ナチュラルコモンといっているのですが、 ここの管理は住民がやっています。 もちろん、 住民が所有しているのです。 住民が管理しているので、 誰もがこの芝生に入って遊べるようになっているのです。 公共は、 固定資産税を減免して、 これを支援してくれています。 ここでは、 公共も、 そういう行為を通して、 ある種、 大地と応答していると言えるのではないでしょうか。

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ


このページへのご意見は都市環境デザイン会議関西ブロック

(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai

JUDIホームページへ

学芸出版社ホームページへ