土地の価値は、 元来そういうものかもしれませんが、 今までの工業化型の商品ではない側面、 本来的な土地の力の側面を持っているのではないかと感じています。 一方で、 生活機能の最小のスペックも必要ですし、 それを達成するために、 どうしても敷地が大きくなっていくという部分があります。
現在、 時代の変わり目で、 社会が成長から、 成熟期に転換する時期に来ていますので、 住宅地のあり方の選択肢の一つとして、 地形を活かした考え方が、 大事ではないかと思います。 先ほど江川さんもおっしゃっていましたが、 住宅をただ置けばいいということから、 多品種、 少量の新しいシステムの構築が求められてくるのではないかと思います。
大型の重機による技術革新が戦後のまちづくりのあるボーリューム像を作ってきて、 それによって文化的な生活が、 最大公約数的にはまかなわれてきたわけですが、 一方で、 最近、 マルティメディアとか通信の技術が目覚ましく進んでいます。 それによって、 通勤時間という呪縛から離れることが可能になると思います。 週の内、 2日か3日都市に出て、 ミィーティングをして、 あとはメールでやりとりをするという時代になるとすると、 通勤時間が少々長くてもよくなるわけで、 そのあたりがおもしろいのではないか思います。
河本:
西脇は、 どちらかというと都市郊外、 ベッドタウンという考え方で作ったわけです。 その中で、 できるだけ自然を残しながら、 ヒューマンスケールなまちを作りたいという考え方でやったのですが、 山崎さんがおっしゃられているような時代になっていったら、 なにも西脇市でなくても、 もっと遠いところの、 もっと地価の安いところで、 先ほど申し上げたような自然にかこまれた住宅地がいくらでもできるわけです。
西脇の場合は一区画平均270m2でした。 せっかく松林を残したのですが、 この大きさですと家を建てるために松林を伐採しなければならなかったわけです。 本当に残念なことでした。 もっと地方であれば、 十分広さがとれたと思います。 それを考えつめていくと、 結局、 今の別荘地が住宅地になって、 職住併用型の別荘地という形態になっていくのではないかという気がします。
特に、 我々専門職をやっているような者は、 フェイス・トゥ・フェイスでやらなければいけないときが時々あるとはいえ、 常に町中にいなくても今のメディアを使っていけば十分仕事はできると思います。 そういう時代には、 住宅のあり方とか、 オープンスペースの捉え方がまた違った形ででてくるという気がしています。
山崎:
今回のテーマをいただき、 逆に随分考えさせられた部分がありました。 西脇の緑風台は、 当初はこれは事業としては成立しないというところからスタートして、 清水の舞台から飛び降りたら、 実は2年半で完売して、 終わってみたら黒字になって、 社長賞をもらったということだったと聞いています。 今までのトレンドは必ずしもこれからのトレンドではなく、 まさに時代の節目にあって、 新しい価値が求められているのではないかと思います。
それれは、 顔の見えない人たちではなく、 それぞれの顔がはっきりわかるような、 家であり、 まちであり、 地域であるということではないかという気がしました。 その中で、 大地というものとのつきあい方が、 経済価値、 商品価値から見ても、 なかなかすぐれもののテーマとしてあるのではないかということが二人の結論です。
価値観の変化と土地の商品価値
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