設計事例紹介
ここで一番大切だったのは、 ここにバラ園をつくるというプログラムだったと思います。 先ほども景観の連続性というお話がありました。 ここの土地柄は、 昔から植木産業がとても盛んなところで、 当然バラの生産も盛んに行われていました。 ですから、 ここに突然バラ園ができたわけではなく、 ここにはバラ園という業務形態が必要であり、 いわば社会システムとの連続性を持った使用目的と景観の連続性があるということです。
ここでは、 棚田状の駐車場に車をはめ込むことによって駐車場の存在を消したことと、 法面が下から連続して存在することで昔から変わらない景観を作り出せたことがポイントです。
ここはもともと埋め立てた場所ですから、 これからすべて人間が作っていくところです。 元々の計画が海の近くでありながら親水性がなく、 人間と海の間が遠いという内容だったものを、 我々は護岸を後退させ、 護岸構造物の上にも修景することにより、 海面のレベルまで連続した景色を作る計画にしました。
この間スイス人のエンジニアと話したのですが、 スイスでは多自然工法以外の工法で河川敷を作るのが難しいそうです。 多自然工法が常識で、 日本のように三面コンクリート張りのような工法だと住民を説得しないという話でした。 国によって土木もずいぶん違うと思いました。
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