最後に住民参加の限界という話をちょっとだけしてみたいと思います。 この六甲道の場合は第二種市街地再開発事業という事業手法が決まっていて、 それで都市計画決定までしてからまちづくり協議会をつくって住民参加で進めてきたということがまず一つあります。 それから、 計画の中に1haという地元の住民だけでない広域対象の都市施設を計画して、 住民に投げかけたことがあります。
これらは必ずしも一からの住民参加ではないんですが、 この辺を六甲道の住民がどう受け止めたか。 行政としてもリスクはあったが、 広域都市施設を住民に投げかけたということについて、 その中で困ったなあとか、 限界だなあと、 住民だけにはまかせられないなあと思ったことはどんなことだったでしょうか。
倉橋:
住民にまかせられへん、 というのはたぶんないと思います。 そうではなくて、 最初に網がかかっていて事業手法も決まっていると、 そういう中での議論というのはやっぱり地元の方にもストレスがたまるし、 コンサルさんのほうにもストレスがたまったと思います。 そのあたりが今回の震災からの再開発の教訓ではないかと思います。 この教訓を生かすためには、 常日頃からみなさんが地元でがんばってまちづくりに取り組んでいくことしかないんではないかと思います。
有光:
だいぶ前から思っているんですが、 やはり住民はすぐには市民にはなれない、 あくまで住民だということです。 市民レベルのことを考えるのはよほどの準備教育をしてからでないとできなくて、 トレーニングが必要だと思います。
例えば、 1haの公園計画のワークショップをやられたんですが、 できあがった6つぐらいの絵が、 幼稚園の子供の絵と比べてもおもしろくない。 正常な人間が作ったものとは思えないようなものになっているわけです。 もっと小さい規模の公園なら住民はいろんな計画を立てられるんでしょうが、 1haの公園の計画はできないんですよ。 スケール感がないのです。 ひどいもんでした。
といったところで、 時間も参りましたのでこれで終わりたいと思います。 倉橋さん、 どうもありがとうございました。