参加型都市環境デザインをさぐる
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地域計画建築研究所 岡本壮平/堀口浩司

構想段階への住民参加

石生駅西側地区の土地区画整理事業―緑条例に基づく整備計画素案の作成
兵庫県氷上町

 

改行マーク氷上町石生駅西周辺地区は、 JR福知山線石生駅の西側約20haの地区である。 ここでは農地を中心に一部に工場や10戸程度の住宅などが点在しており、 近年、 高速道路等の充実を背景に市街化圧力が高まりつつある。 土地区画整理事業と併せて緑条例による整備計画(地区計画に類似のもの)を策定しようとした例であり、 その際には区画整理事業の権利者を中心に、 住民による計画づくりを行った例である。

改行マーク緑条例の特徴でもある緑地の確保を中心に、 容積率や垣柵の制限など地区計画制度に類似の項目を定めることになっている。

改行マーク兵庫県では「丹波の森構想」実現のため「緑豊かな地域環境の形成に関する条例(以下、 緑条例)」が制定されており、 この地区は「さとの区域」に指定されている。 開発には一定量の緑地確保などが義務づけられているため、 土地区画整理事業と共に緑条例の整備計画を策定することになった。

改行マーク氷上町では、 平成10年度に「石生駅西周辺のまちづくりを考える会」を立ち上げ、 ワークショップで整備計画の作成を行った。

改行マーク構想作成段階からの直接的な住民参加は始めての試みであったため、 ワークショップでは住民の主体的な参加を促すために以下の工夫を行った。

改行マーク(1)ミニ講演による基礎的理解の促進(写真1)

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写真1:講演会の様子
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写真2:ワークショップの様子
改行マークワークショップの冒頭に20分程度のミニ講演(勉強会)を企画。 テーマは「緑を活かした地域づくり」や「まちづくりルール」など。

改行マーク(2)住民主役のワークショップ・プログラム(写真2)

改行マーク住民が意見を出し合い、 とりまとめ、 発表し、 意見が対立する場合は全員で議論するプログラム設定。

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写真3:ワークショップの様子
改行マーク(3)模型やイメージ写真による合意形成支援(写真3)

改行マークまちのイメージづくりや土地利用構想の検討にイメージ写真を活用し、 建ぺい率、 容積率、 高さ制限、 敷地規模、 垣柵の構造などのルールの検討には模型を活用し、 具体に理解しやすい表現で合意形成を支援。

改行マークワークショップは5回行われ、 まちづくりの目標や土地利用構想のほか、 建物用途、 建築物、 緑化、 景観などに関するルールを内容とする「緑条例に基づく整備計画素案」として結実した。 現在、 地元では「まちづくり協議会」の結成に向けて関係者の努力が続いている。

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