参加型都市環境デザインをさぐる
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久保都市計画事務所 久保光弘

まちづくりシンボル事業

味泥下町活性化委員会:味泥せせらぎ
神戸市

 

改行マーク灘区味泥地区は、 インナーシティ問題の典型的な町のひとつ。 地元のまちづくり組織、 味泥下町活性化委員会は、 地区のイメージチェンジを図るため、 地区のシンボルづくりに取り組んだ。 「味泥せせらぎ」もそのひとつである。

改行マーク活性化委員会は、 国道に地下河川(暗渠)が整備されることを契機に既存河川・観音寺川を「水とのふれあいのあるせせらぎ」にしようと市に提案した。

改行マーク親水小河川の先進事例の見学、 地域住民の参加による河川清掃、 魚のつかみどり大会、 鯉の放流実験などを体験しながら、 せせらぎづくりのアイデアや管理の仕方を学んでいった。 上流の雨水がせせらぎの水源となるので、 その水質の保全のため、 上流流域の家庭排水調査を市にお願いもしている。 このような動きとあわせて、 行政、 専門家の協力を得て、 味泥せせらぎ計画の具体化が進められていった。

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せせらぎプレイベント(整備前)「河川清掃と魚のつかみどり」 第2橋 丸木あかり 味泥せせらぎ(震災後)
 

改行マークこの小河川の再生とともに、 そこに架かる橋も一体のものとしてシンボルにしようということになった。 河川周辺は暗がりの多い場所であり、 河川にかかる5つの橋は、 地区の入口にあるので「橋を町の玄関のあかり」にしようと「せせらぎ五橋−はしあかり」のコンセプトがつくられ、 デザイナー(清水泰博氏)が招かれた。 第一期としてつくられる2つの橋「水あかり」と「丸木あかり」の銘板は、 味泥の児童や老人会、 婦人会の作品がコンクールによって選ばれた。

改行マーク平成6年7月、 味泥せせらぎ第1期工事の完成を祝って「味泥せせらぎ祭」が行われた。 そして、 それから半年後、 あの阪神淡路大震災で味泥地区ほとんどの家屋が全半壊し、 完成したせせらぎも壊れる等、 大きな被害を受けた。 しかし、 町の復興とともにせせらぎの復興が進められ、 最近になって河川部分の整備が完成した。 味泥せせらぎは、 小さいながらも多くの人々の色々な思いが込められた地区のシンボルとなった。

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