琵琶湖に注ぐ1級河川のひとつ、 愛知川を市境の一部とする八日市市では、 唯一まとまった面積で残された河辺林を保全すべく、 平成11年度から「河辺いきものの森事業」を展開している。
現在事業地は樹木やタケが生え放題という状況だが、 市では平成10年度から市民の参加により森林の整備を始めている。 活動する市民は、 市の呼びかけによって設立した「遊林会」を中心に、 地元の各種団体や市内高校の生徒など非常に多様だ。 これら団体の間には実際の活動における「垣根」は無いに等しく、 どの団体がどこでどの作業をするなどという割り振りは行われない。 当日の作業内容は大枠が決められるだけで、 各人が自由に作業を選択できる。 これでは人気のない作業に人が集まらず、 いつまでたってもその作業が進まないのではないかと考えられるが、 毎回そんなことにはならない。 それは、 「誰もいないのだったら自分がやってやろう」という人が必ず出るからだ。
また事業地の管理を主目的としてつくられた「遊林会」でさえも、 企画・運営部会などの組織づくりを計画的に行う予定はない。 これは通常こうした組織が、 実際の活動に注ぐエネルギーよりも、 組織そのものの維持により大きなエネルギーを必要とすることがしばしばあるとの認識からだ。 では今後誰が活動のマネジメントを行うのか。 事業地ではこれさえも自主性に任せられており、 現在活動を通じて企画・運営を行う核となる人物が複数育まれつつあるところである。