株式会社まちづくりワークショップ 吉田 薫
不思議なおもしろ道づくり
マリンロード修景事業計画
神戸市
別名「マリンロード曲線」と命名された3つの線形を組み合わせた道路修景計画 |
活発なネゴシエーションの様子 |
地下鉄海岸線「新駅」出入口設置を契機として道路修景が要望されたが、 「沿道の皆さんでまず掃除ぐらいしてはどうか」との問いかけに、 チャイナドレスの娘さんなど有志による自主的なクリーン作戦が始まった。 参加型まちづくりの所以でもある。 意外や住民同士は初対面が多く、 その後顔見知りとなり横のつながりが沿道で「マリンロードを考える会」を組織させた。 手づくりニュースは関心を拡げた。
参加型手法でどんな変化があったのか。 行政が提示した左右対称の歩車分離案に異議が出された。 「反対」も関心の証しである。 代替案は「ジグザグ案」と「蛇行案」。 前者は来街者等の路上駐車が危惧され、 後者に一度はまとまったかにみえたが、 事故多発交差点の改善、 速度抑制、 路上駐停車対策、 右左折車輌の円滑処理、 沿道土地利用(ビルテナント引越大型車対策等)や「マリンロードらしさ」の探求等々から、 一路線に3つの平面形状をもった「第3の道」が協同で練られてきた。
住区内街路は同一路線といえ一律の条件ばかりではない。 利用者の意向をくみあげ、 地域の実情に即してより多面的な検討を加えた結果到達したコミュニティ・デザインともいえる。 予算上の制約を受けつつ街灯やボラード、 植栽の工夫等も試みられたが、 誌面の都合で紹介できない。
街灯は将来の沿道民間照明とセットで考え、 フットライトにとの意向は折りあわず「あきらめの儀式」がなされた。 駐車対策をハードで解決できないところは、 ソフト対応を併用する一部区間も納得のうえ了解された。
計画過程では、 住民が自主的に事例写真をとって行政にビジュアル提案した。 自転車放置や商品張出しなど、 竣工後の利用や管理上の申し合わせを考えようという意識変化も生まれてきた。 参加型は、 ネゴシエーションを通して緊張関係が育まれてこそ、 筋書きのないドラマが準備されるといえるかも知れない。