近い将来、 サンフランシスコベイエリア地域においてヘイワード断層による大地震の可能性が予測されている。 その予測では都市部の30%の建物が取り壊しや大規模な修復の被害を受けること、 アラメダ郡においても14万8000人が住宅を失うことが予想されている。 このレポートはオークランド市のサンアントニオ/フルートベイル地区をモデル地区に選定して21人の住人や専門家が集まり3日間のワークショップによる震災後の復興住宅計画のガイドラインづくりである。 NPOが後援となり成果は緊急時の地震プログラムに反映されることになる。
モデル地区は住人が高齢化しておりイーストベイの典型的な老朽化した木造の集合住宅が密集している。 約75%の住人は借家で、 人種的にも混在しており、 人口密度も高い。 震災後の自力復興が困難で大量の低所得者層のホームレスの発生が予測される。 このような緊急事態の状況における住宅供給をどのようにするかが試案された。 基本的には仮設住宅は被災者を他の場所に移すことなく生活圏の近くで復興を見い出すためのアイデアが提案された。
一般的には被災地住宅の早急の調査及び修復案がある。 工業化仮設住宅を大規模に設置する案についても検討されたが、 過去の経験からたいへん経費がかさむ上、 効率的ではなく、 配送も困難と考えられた。 道路や私有地に仮設住宅を設置する案も検討され、 その上で短期と長期の仮設住宅の試案がされた。 私有地の駐車場を含めたバックヤードに仮設住宅を設置する案では、 将来の許認可の緩和と云った制度案も検討されている。 その上で住宅の構造上の補強に見られるような安全な都市づくりが何よりも重要な戦略であると結んでいる。
阪神淡路大震災の際、 なぜ仮設住宅の多くは生活圏から離れたあのように画一的であらねばならなかったのか。 この事例のような地域コミュニティーにとっての試案づくりが望まれる。
大阪芸術大学 松久喜樹
緊急事態における
震災後の復興住宅計画ガイドラインPost-Earthquake Housing Recovery
カリフォルニア州オークランド市
ワークショップ風景
バックヤード復興住宅案
復興住宅試案の一例
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