参加型都市環境デザインをさぐる
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(株)アール・アイ・エー神戸支社 齋藤彰良

手づくりの震災復興(1)

共同即地型自力応急仮設の試み
神戸市灘区弓木町4丁目地区

 

改行マーク弓木町4丁目地区は、 JR六甲道駅から約600m東の六甲山への玄関口である山手幹線と高羽線との交差点南西角に位置しています。 戦後から高度成長期にかけて、 市民の台所として栄えた「地蔵市場」が街区の過半を占め、 これに隣接して比較的大きな住宅宅地が並ぶ市街地でした。 しかし、 その多くの木造建物が老朽化しており、 平成7年1月17日の阪神淡路大震災では、 地区内建物の90%以上が倒壊するという壊滅的な被害を受けました。

画像43a
fig.1 共同即地型自力応急仮設
画像43b
fig.3 応急仮設建設会の仕組
改行マーク「災害救助法」に基づく倒壊建物の公費解体が進むにつれて、 当座の応急的住宅・店舗の確保が問題となります。 大規模な大都市直下型の震災においては、 短期間に大量の応急仮設住宅を確保する必要性から、 その建設場所の確保上、 どうしても周辺大規模空地(公有地)に分散配置されることとなります。 しかしながら、 一日も早い恒久復興を実現するためには、 関係者の協議を頻繁に開けるようにすることが必要とされ、 そのために準備組合として倒壊家屋の更地化された土地の上に、 応急仮設建設会の一時使用賃借権を共同で設定し、 連帯債務保障により資金調達し共同即地型自力応急仮設住宅及び店舗を建設することとなりました。

改行マーク借入金の償還財源は、 市街地再開発事業の建物補償費を充当することとし、 結果的に恒久的街づくりを実現する事業費の中で賄う仕組みとなっています。

fig.2 共同即地型自力応急仮設建設の歩み
H7.01.17阪神・淡路大震災
H7.04.20〜05.24個別ヒアリング(土地一時使用の可否・仮設入居意向)
H7.08.07〜08.09整地工事
H7.08.08応急仮設入居者説明会
H7.08.25〜09.28応急仮設建設工事
H7.10.01応急仮設入居
準備組合で、 施設計画・資金計画・権利変換基準等を検討し、 理事会・全体説明会・個別ヒアリング・総会等を通じて合意形成を図る。
H9.02.28第一種市街地再開発事業都市計画決定
H9.09.08市街地再開発組合設立認可申請
H9.11.13〜11.26都市計画審議会(市・県)
H9.12.09市街地再開発組合設立認可公告
H9.12.18市街地再開発組合設立総会
H10.07.24事業計画変更・権利変換総会決議
H10.07.03〜07.16権利変換計画縦覧
H10.07.24審査委員同意
H10.07.28権利変換計画認可申請
H10.08.19権利変換計画認可公告
H10.09.02権利変換期日
H10.10.05明渡期日・補償金支払
H11.03.30応急仮設建設会解散

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