(株)アール・アイ・エー神戸支社 齋藤彰良
手づくりの震災復興(2)
震災の教訓を新しい街に
神戸市灘区弓木町4丁目地区
fig.1 弓木町4丁目地区第一種市街地再開発事業施設建築物完成予想図 |
(1)建築ボリュームをフラットタイプの中高層(西棟)と、 タワー状超高層(東棟)の2棟雁行配置にすることにより分棟・分節化し、 圧迫感と風害の軽減を図るとともに、 住棟間のプラザを市民に開放することにより市街地環境に馴染む景観形成を図っています。
(2)中高層棟を住戸内に柱・梁のない快適な住戸計画可能とする壁式ラーメン構造とし、 また、 超高層棟については、 建築コストの低減を実現するために、 高強度コンクリートを利用した純ラーメン構造を採用し、 要求される安全な構造強度・適切な建設コスト・快適な居住性等のバランスを確保した構造計画としています。
(3)建築の外観は、 六甲山系の景観との調和を図るため、 エリアカラーとして有馬花崗岩の色調のタイルを採用し、 防汚加工の表面処理を施した外壁タイルをPC打込み施工とし、 剥離防止とあわせて汚れ防止による維持管理コストの低減を図りながら、 柔らかい色合いを保つデザインとなっています。
(4)六甲山や幹線道路周辺からの都市景観に配慮すると共に各住戸からの六甲山への眺望を確保するため、 大型エレベータ機械式駐車場(収容台数128台)を地下に埋設計画しています。
(5)施設屋上部に太陽電池パネル(45KW)を設置し、 災害時の非常用電源を確保するとともに、 平常時における共用部分の補助電源として共用水光熱費の低減に資すこととしています。
(6)井戸水を、 災害時の飲料水として非常用濾過装置により利用可能とするとともに、 平常時にはプラザに潤いを演出する流水システムとして、 また植栽等への散水等にも利用できるものとしています。 また、 周辺地域の消防用水として耐震性防災水槽(40t)の水源を設置し、 周辺地域を含む消防水利施設としても活用できるように計画しています。
(7)従前営業者用の店舗については、 零細な経営基盤条件での営業者の生活再建に配慮し、 管理運営コストの低減を図るため、 住棟下部への組み込みを避け、 別棟構成として山手幹線沿いに存在感あるユニークな外観デザインとして沿道の賑わいある街並みを演出します。