兵庫県都市計画課 難波健
住み手と造り手の共同作品
コーポラティブタウンの成長西神コープタウンアーサヒルズ
神戸市西区春日台3丁目
アーサヒルズ外観 |
アーサヒルズ位置図 |
事業プロセスでの新しいコミュニティ創出への試みとして「コミュニティ委員会」が設置され、 さらに設計・企画・管理システムの三部会で共有空間の計画や事業期間中のイベント・広報・コミュニティ活動、 そして入居後のコミュニティ・マネージメントシステムについてまで話し合い、 実行されていった。 見学会による共同学習や、 全家族がオリジナルの陶板を作成し共用空間の壁面や床面を飾るプロジェクト、 「野外バーベキュー」をはじめとしたパーティーを開き、 「住まい・まちづくり通信」は事業中に13号を数えた。 また、 一人ひとりが30万円ずつ出資したコミュニティ基金が生み出されたという。
入居時点でコミュニティができていたことは、 安心して暮らせる住まい(ハード)と人間関係(ソフト)が組み込まれた生活の場として住み続ける者にとっての意味は大きい。 しかし、 入居者のほとんどは一般の会社員であり、 転勤とか、 戸建て住宅への住み替えで出ていった家族も多く、 棟ごとのコミュニケーションはあるが7棟全体での交流は現在ほとんどないという。
ただし、 G棟の集会所は趣味やサークルのアソシエーションの場としてよく機能しており、 年末には忘年会で予約もとりづらい状況となる。 要は声をかけ、 企画するリーダーの問題のようだ。
高齢化は着々と進んでおり、 今後、 どういった対応ができるかについては不明であり、 皆に不安がある。 住む人が設計に関与したのだが、 不満な点が多いという。 「なかなか素人にいえの設計はできるものではない」というのはちょっと寂しい。 より大胆な設計のリードが必要だったのだろうか。
99年春にトルコを旅行していて、 建設中の中層マンションを多く見かけた。 「公共か民間か」と聞いたら「コーポラティブだ」という答えが返ってきて思わず耳を疑った。 聞けば、 経済的な住宅取得方法として一般的であるという。
トルコの震災で、 復旧に向けて参加型住宅建設のメリットが出ればよいのだが。