今まで我々は、 ホモジーニアスな状態のクラスターを、 どうやって効率良くつなげていくかを考えてきました。 平野部だけ、 臨海部だけ、 農村部だけを結ぶ道路という形で、 同質地域をネットワークさせ、 効率性を高めました。
しかし、 同質な地域だけ、 あるいは単一な地域だけでは、 都市の自立性はないわけです。 都市は、 水も、 空気も、 エネルギーも、 食料も生産しません。 したがって供給源である農村地域、 あるいは森林地域を含む大きな構造の中で都市の自立性を考えなければならないと思います。 先程堀口さんが言われたように、 都市ではなく、 都市圏という形で考えざるをえないのです。
そういうときに、 森林、 農地、 給水源等々を含んだヘテロな状態にある、 たとえば琵琶湖淀川水系で考えてみると、 多分一つの自立性がありうるのではないか、 手がかりが見つかるのではないかと思います。水系で捉える都市構造
これからの都市構造を考えていくとき、 これらのことは何を表しているのでしょうか。 一つは関西が、 山林域、 農村域、 都市域という三つの要素を持ち、 ヘテロな状態にあるということです。 それに対して大阪平野は、 全て市街地か、 せいぜい農地を一部含んだ都市域というホモジーニアスな状態になっています。
図9 水系で捉える都市構造の概念モデル 出典:地球環境関西フォーラム「都市環境部会資料」 |
水が枯れてしまうと葉っぱも枯れてしまいます。 したがって近畿圏全体のクラスター構造の中で、 木全体の健全性をどう高めるかが重要であり、 その上で各々一個一個の小流域の健全性をどう高めるかを考えなければなりません。 これはまさに、 今言われている自立と連携という考え方です。
自立の単位としては、 多分小流域、 あるいは同一地区、 地形の単位と考えてもいいかもしれません。 それをヘテロな状態でつないでいく、 水系なり流域なりという考え方が、 もう一方で必要になってきます。