堀口さんはレジュメで、 地方都市の生産・雇用・消費といったバランスが安定し、 保全修復型プロセスに入れば、 都市ストックの維持を通じて安定的成長管理の可能性があると言っておられます。
それは正しいかもしれません。 しかし問題は、 安定的であろうとなかろうと、 社会的、 経済的に成長の可能性があるかどうかです。 停滞とか衰退のもとでは、 都市は荒廃の道を辿る他はないのではないか、 つまり、 地方都市は成長の条件を満たすことができるかどうかが、 まず問題になるだろうと思います。 都市構造がどうとかいう以前に、 そういった点が問題なのです。
もう一つ、 今の成長の話ですが、 成長は変化ということです。 ところが環境への脅威は変化にこそあるわけです。 言い換えれば、 環境への脅威は成長のもたらす歪みです。
たとえば通勤時の交通渋滞は、 地方都市の方が深刻だといったことが多々あるわけです。 これは、 地方都市が安定的な成長の段階にさえ至っていないということであって、 変化が必要です。 その変化のために緑が失われ、 緑が持つ気温調整とか大気浄化などの環境維持機能が失われています。
要するに、 公共空間、 公共施設のためのスペースが絶対的に不足しているのです。 地方都市でも、 そういう意味での空間の制約が環境問題を生みだしています。
もちろん大都市圏にも大きな問題があります。 特に巨大施設、 国際交流施設とか教育文化施設、 ターミナル、 空港、 清掃工場などの基盤施設、 あるいは新都市とか副都心をつくるスペースの確保が、 大都市圏では
おそらく関西圏の場合、 大阪、 神戸で臨海部を埋め立てるか、 後背地の山の方にいく、 あるいは京都の巨椋池の干拓地ぐらいに可能性が残っているにすぎません。
都市の成長に伴うひずみは、 空間の制約によって生じていると言ってよいでしょう。
都市の成長のひずみ
一番目に堀口さんがおっしゃった環境共生にふさわしい規模について考えてみます。
絶望的だという状況です。
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