『メトロポリスの都市交通』という本で、 世界の四大都市圏である東京、 ロンドン、 パリ、 ニューヨークの交通事情を比較分析しています。 そこにおもしろいことが書いてありました。 その本の一つの結論は、 活気がある高密な都心を維持する必要があるということですが、 その高密な都心にサービス機能を立地させ、 人々を誘導しなければならないと言っています。 そしてその誘引力を、 一日に都心に来る全体の人数に対する通勤時以外の来訪者数で計って示しています。
数で一番多いのはニューヨークで、 一日182万人、 56%がラッシュ時以外に来ています。 東京は100万人、 35%で、 絶対数は二番目ですがパーセンテージでは四大都市の中で最低です。 パリは67%、 ロンドンは50%です。
これは、 東京が大都市で本来受けられるべきサービスを受けられる街になっていないのではないかと疑問を突きつけているデータだと言えます。 大都市だったら都市機能を享受できる、 地方都市では駄目だということではなく、 やはりその都市のそれぞれの在り方によって全然違ってくるということです。
一方で、 過密の弊害もあります。 東京では都心居住が少なく、 通勤量が多くなり通勤距離も長くなると書いてあります。 都市の魅力、 利便性の高さ、 あるいは弊害も、 規模そのものというより都市構造に起因するものであり、 都心居住が進まないのも、 やはり家賃が高いといった社会環境とか経済環境のほうに問題があるのではないかと感じたわけです。
それでは、 都市に適正な規模が存在するのかどうかと考えると、 都市構造から解答を見つけるのは容易ではありません。 ですから、 違う側面、 まずはエネルギー消費から考えてみたらどうでしょう。
大都市ならば充実したサービスが受けられるのか
一方で堀口さんは、 大都市部では充実した都市機能を享受できると、 都市活動の規模でものを言っておられます。 それがその通りであるかどうかを、 考えておかなければならないと思います。
このページへのご意見はJUDIへ
(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai
学芸出版社ホームページへ