この考え方を拡大していくと、 先程の増田先生のお話とは違い、 関西の都市圏の特徴は大地形にあるのではなく、 基本的には小地形にあるという考えに行き着きます。
根本は、 扇状地の河川です。 小さな急流の河川が一つ一つの単位をつくっています。 扇状地ごとに一つの川があって、 山から湖までで一つの生態域ができる。 それが積み重なって盆地になっている。 これが基本的な琵琶湖の構造です。
これは近畿全体にも当てはまります。 近畿の地形構造は基本的には盆地構造だというのが私の捉え方です。多段階の環境域
集落単位でやる、 町村単位でやる、 その結果が一つの流域である琵琶湖全体に及ぶ。 その考え方は、 私のいうところの環境域という考え方です。
図2 近畿圏の地形 |
大阪を中心とする近畿大都市圏は確かに一つの環境域ですが、 それは多段階の環境域に分かれています。 ですから、 それぞれに環境域を考え、 その中でゼロエミッションをやっていくと、 最後は大阪湾全体の水質がよくなるはずです。
琵琶湖の水質と同じように、 大阪湾の水質が近畿圏の環境問題の一つのメルクマールですから、 大阪湾の水質に基準を設け、 それを各圏域がどう役割分担し解決していくかを考えて行くべきだと思います。 またそういう構造をどのようにして都市計画に取り込んでいくかが、 私の課題です。
このように水の場合は分かりやすいのですが、 その他にも大気の環境、 ヒートアイランド、 廃棄物の循環、 都市の景観など、 本当はそれぞれに環境域があって、 その一つ一つの多段階の環境域を大事にしていくという基本的な考え方が必要です。 それらを、 どのように都市計画に取り組んでいくかがポイントだと考えています。