環境共生型都市デザインの世界
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世界の大都市と比べた大阪都市圏の環境特殊

 上海とサンパウロは大阪市の姉妹都市で、 都市圏レベルの人口は1700万と1500万です。

(1)上海

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図3 上海
 図は上海市です。 ここに1,700万人が住んでいます。 揚子江の沖積平野の末端部にあって、 沼沢地もたくさんあります。 上海市はほとんど標高差がないので、 一番高いところで標高10mぐらいです。 非常に低い平地が特徴です。

 揚子江はだいたい6,000kmあります。 その6,000kmの川がつくった沖積平野の上に大都市が乗っています。

 するとどういうことが起きるかというと、 水を含んだ粒子の細かい土でできていますので、 都市をつくればつくるほど地盤沈下が進みます。 地盤沈下すると排水が悪くなりますから、 上海市の水質は最悪です。 下水道はありません。 下水道があるのは先進国だけで、 上海市はまだ始まったばかりです。 空気も悪いし、 深刻な環境問題を抱えています。

 しかし、 上海ガニ、 田ウナギ、 カエル、 蛇などの食べ物は美味しいのです。 なんで美味しいかというと、 肥沃な泥の中で生活しているからです。 栄養分たっぷりの低平地の中に生息している生物を食材にしているから、 上海料理はとても美味しいというのが私の実感に基づく結論です。 このように上海は同じ大都市と言っても、 大阪とは全然違うということが分かります。

(2)サンパウロ

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図4 ブラジルとアマゾン川
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図5 サンパウロ付近の地形モデル図
 アマゾン川は揚子江よりちょっと長く、 6,300kmあります。 淀川は75kmで100kmもありません。 利根川は300kmぐらいですから、 揚子江もアマゾン川も利根川の20倍も長い川です。

 図はブラジルのサンパウロ付近の地形を模式的に表わしています。 大西洋にサントスという外港があって、 サンパウロはそこから内陸に20kmぐらい入ったところにあります。 大西洋があってサントスの港があって、 そこから1,000mぐらいある六甲山くらいの崖を上って、 その上にサンパウロの街があって、 そこに大都市圏ができています。 ところがサンパウロの川は海側に流れず反対側に流れています。 パラグアイを通ってアルゼンチンを経由してラプラタ川に合流する3,000kmくらいの川です。 それの一番上流にサンパウロの街があるのです。

 こういう河川の最上流に街をつくると、 どういう結果をもたらしているかです。 まず水の確保の問題があります。 ダムをいっぱい造っていますが、 都市がダムの水源涵養林地帯を食いつぶして広がっていくという不思議な都市です。 水源涵養林地帯を狙って拡大しているように見えます。 サンパウロも下水道がなく、 汚染水は全部となりの国に流れていっています。

 世界の大都市にはそれぞれにユニークな地形があり、 それが一つの条件になって、 いろいろな環境問題を発生させています。

 こういった世界の大都市に対して、 私は大阪都市圏に複合盆地世界という名前を付けました。 さっきいったように、 扇状地が集まって盆地をつくっていて、 それが複合している世界だからです。

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