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図6 パリ・ペイのピラミッド
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美を追いかけた人間はイタリアの次にフランスへ行ったのだと私は思います。 このルーブルの中で何が作れるかと言うと、 やはりこのガラスのピラミッドだったと思います。 特に傑作だと思うのは、 天気がよくても悪くても様になることです。 つまり、 時と場所を選ばなくても成立できるものは、 普遍的な美の構造になっているのです。 フランスの重い伝統文化の中での美を、 この建物は新たに付け加えています。
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図7 ポン・デザール
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以前京都で景観論争になったフランスの橋の本家がこれです。 この時、 私は川幅と軽さ、 水深(川の色に関係します)の違いを指摘したのですが、 パリの川と日本の川では透明度がまるで違うんです。 黒に近い濃いグリーンがパリの川の色で、 それに合うようにこんなライム・ストーンの黄色い暖かみのある橋を選んでいます。
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図8 そのディテール
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また、 フラットバーのようなスティールの橋のディテール、 それにこのカーブが日本人には出来ないんですね。 日本人がカーブをきれいに出せるのは日本刀ぐらいのものじゃないでしょうか。
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図9 緑色の店の扉
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濃い緑、 これがフランスの基調色です。 道ばたのマロニエの葉の色もそうです。 この色でペイントを何度も繰り返すのが彼らの文化です。
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図10 赤いテントの店
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この赤と同じ色のコートを日本で着ると、 全然さえないんです。 この赤が暖かく見えるのは、 やはりフランスの持つライムストーンの風土から醸し出されてくるものなんです。 風土的に合う色、 合わない色は水蒸気と光の量で決まってくるものなので、 日本のように湿度の高い国ではこんな赤は似合わないんです。
フランスでそのことをきちんと押さえていたのは印象派の画家で、 彼らは地中海へ行って色の発見をいろんな方法でやっています。
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図11 ホン・フルールのヨットハーバー
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同じ川沿いでも地方で色は違ってきます。 ここはホン・フルールというノルマンディの漁村です。 映画「男と女」の舞台になった場所です。
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図12 Maison Satieの幕がかかった小路
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印象派の画家はノルマンディにもよく出かけたのですが、 ここも画家とかエリック・サティといった音楽家に愛されたところでした。 普通のおじさんが着ている黄色とブルーの服もなかなかよく合っていて、 おしゃれだなと思ったものです。
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図13 店先に花のある青いテントの店
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道沿いに並べられたテーブルクロスのナプキンから花の色、 建物の色までのコーディネートの見事さ。 これを街に住む普通の人がやっているんです。 やはり文化レベルの高さを感じます。 椅子を白系にして、 パラソルも白、 そして青と白のストライプをきかせています。
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図14 赤と白のパラソルがある店
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例えば建物が赤なら、 その赤をテーブルクロスにも使ってみるという感覚です。 パラソルもそれに合わせ、 上の方に赤い花を持ってくる。 これはマニュアルや学校教育で学ぶものではなくて、 毎日の生活から身につける感覚なんです。 ですから何かおかしいということは、 数字や理屈を持ち出すことなく見たらすぐにわかります。 子供の頃から親にいいもの、 悪いものを教えられてきたわけで、 これは教育と言うべきか文化なのかと私はいつも考えてしまいます。
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図15 乗馬のトレーニングをする子供
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子供が乗馬のトレーニングをしている風景ですが、 フランスでは特別なことではなく、 結構安いんです。 自然との共生が生活の中に根付いているんです。 日本だと乗馬をする生活、 自然と本当にふれあうことのできる人はお金持ちだけだという話になってしまい、 私はどうしたらいいんだろうと思ってしまいます。
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