先ほど井口さんから上海の超高層ビルはフローであってサブカルチャーではないとご指摘を受けましたので、 そのことについてコメントします。
ストックかフローかを決めるメカニズムはある程度の時間軸の中で決められていくものだと思います。 誰がそれを決めていくかによっても変わると思います。 ですから、 上海の超高層ビルが百年後に残っていたらそれはストックと呼べるでしょう。 あの中でどのくらいの人間がビジネスや生活を送るのか分かりませんが、 あのビルを建てたことで郊外の自然地が市街化から逃れられるとすれば、 環境共生に貢献できると考えています。 コンパクトシティをうまく進めれば、 その可能性もあります。 その成否が不明な時点では、 超高層ビルがストックかフローかについての断定は差し控えたいと思います。
むしろ、 上海の現在の建築活動はサブカルチャーを形成できるかという視点から評価されるべきだろうと考えています。 都市が持続するための必要な条件は簡単に出せませんが、 現実に世界から消滅しそうな都市(物理的には残っていても、 都市活動がなくなってしまう都市)を見ていると、 都市の持続性には都市コミュニティの多様性が必要だろうと考えています。 つまり、 いろんな人が入れ替わり立ち替わり都市の主役になれること、 そうした活動を保障できる都市です。 活発に動いている人たちにはそれぞれの背景があり、 そうした人たちのシンボルが都市の中に必要なのです。
例えば、 昔から京都の人たちは自分たちの街の文化に誇りを持っていますが、 同時にそれは大阪の人たちから見ると、 京都の文化は冷たくてお高くとまっているという二面性があります。 大阪もまたしかりで、 庶民的で活気にあふれる街であると同時にゴチャゴチャした文化のない街という二面性があります。 いずれにしても都市は一面的なものではなく、 いろんな人がいろんな所から参加できる条件が将来にわたって揃っている必要があります。 ですから、 新たに参加してくる人たちを受け止められる状況があるかどうかが、 持続可能な都市の条件だろうと思います。
付け加えるならば、 環境共生との関係で都市が持続できる規模はどのくらいかと考えますと、 30万人が限界だろうと言っておきます。 昨今、 都市連携や都市合併の問題を経済屋さんが論じていますが、 基本的には人口と面積の関数で決められており、 それによると30万人が限界らしいです。 そこで、 30万人を維持するサステイナブルな要素が何なのかを探ることが、 環境共生の都市ストックを考えるヒントになるという気がします。
多様性が持続できるか否かのポイント
加藤:
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