環境共生型の都市デザインを考えるにあたって、 広域的スケールで考えることがこのセッションのねらいである。 環境共生型都市の向こうに展望するのは、 持続可能な社会の構築であるが、 都市は本質的に膨大な資源とエネルギーを世界中から集約し、 消費する存在である。 持続可能な(あるいは可能性の高い)都市づくりを行う上で、 広域的なレベルでの都市の連携や活動のスタイルが大きく影響することになる。
【論点】
Session-1
土地利用計画における環境共生
コーディネータ/地域計画建築研究所(アルパック) 堀口浩司
これからの循環型社会を構築するには、 都市デザインのさまざまなレベルでその試みを行うことは勿論重要であるが、 都市の構造(あり様)が、 そこでの市民や企業のビヘイビアを規定し、 さらにそのような活動が環境に大きな影響を与え続けている。 このセッションでは土地利用やインフラ、 あるいは自然的条件などを、 大きな環境規定要素としてとらえ、 都市デザインにどのような関わりを持ってきたか、 またこれからの都市活動や生活行為にどのような展望を与えるのかを考えてみたい。
○環境共生にふさわしい都市の構造や都市の規模とは何か。
といった点がこのセッションの問題提起である。
○広域計画としての緑地(農地)計画や交通計画と土地利用計画が「環境共生」とどう整合するのか。
○都市の発展プロセスとは、 環境破壊と創造の繰り返しでありる。 そもそも「共生」がありうるのか。
1 都市活動の広がり・規模
京阪神都市構造形成の経緯 |
主要な市街地整備課題(地域の特性) |
その一方で、 大都市地域では、 中心部への集中・集積によって充実した都市機能を享受できる反面、 長時間通勤、 住宅難など過密による弊害も発生する。
では、 大都市圏域における環境共生を考える上で、 適正な都市の規模といったものが存在するかどうか、 存在するとすればどのような尺度で測られるものか。
京阪神の都市圏構造(クラスター構造) |
また情報化の進展や交通手段の成熟により、 新しい都市構造のあり方、 ネットワーク論があるのかどうか。
地形・地勢(京阪神圏) |
地形・地勢(東京圏) |
また文化、 消費、 情報などさまざまな都市機能には集積の効果があるため、 小都市より大都市住民は総じて高度な機能を利用する機会に恵まれる。 コンパクトであることは、 これらのメリットを放棄することになってしまうのではないか。