Session-1関西大都市圏の環境特性と
|
上海は世界有数の大河川揚子江のつくる大三角州平野の下流域にある。 4~500年前は海の下にあった場所が海の上に現れた都市である。 粒子が細かく水を含んだ沖積平野の低平地に大都市圏が形成されている。 都市構造物全体の地盤沈下、 排水不良による水質汚濁、 排気ガスによる大気汚染が深刻である。
サンパウロは、 大西洋から20キロの近い位置にあるが、 海抜1.200mの高原にある。 川は大西洋に背を向けて内陸に向かいパラグアイ、 アルゼンチンを経て大西洋に至る。 河川の最上流部水源地域に大都市圏が形成されている。 下流への水質汚染、 排気ガスによる大気汚染、 水源地域緑地破壊が深刻である。
この二者に比べて、 関西は典型的な扇状地地形に大都市圏が形成されている。 玉城哲がかって日本の地形の基本は扇状地であると喝破したあの扇状地である。 扇状地が稲作を育て富を蓄積する根拠地となった。 関西はこの扇状地が多様に分布し、 早くに文明が興隆する要因となった。 扇状地は山から川、 湖、 海に至る山裾の地形であり、 内陸では盆地を形成する。 関西には、 琵琶湖盆地、 京都盆地、 大和盆地、 河内盆地が独自の扇状地世界を作ってきた。 そして下流部に大阪湾扇状地世界がある。 それぞれの盆地世界は山地丘陵によって地形的に分節化されているところに環境特性がある。 分節化された盆地世界は自律的な環境域を形成しつつ、 相互に連携している。
関西大都市圏は、 大阪湾の水質汚染、 排気ガスによる大気汚染、 ヒートアイランド問題を抱える。 その昔大阪湾をちぬの海と言った。 どんなに豊かな海だったのか。 大阪湾にちぬの海を戻すことが、 関西大都市圏都市環境問題の最大の課題である。
![]() |
図 「自律環境都市」の概念 |
この「環境域」概念は、 水環境域のみでなく、