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UNE PETITE MAISON 1990

ウエノデザイン

上野 泰

まち

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家の前の道
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道側から見た家
 この家は、 夫婦2人と小鳥1羽が住む、 小さな敷地の小さな家である。 東京区内の、 今年で76年を迎える住宅地の一角にある。 創設当時に植えられた木々が豊かな緑の環境を生み、 家々の庭に植えられたサクラと、 生け垣がこのまちの顔を造り出している。 電線や電話線は樹冠の中を通り抜け、 事業者は電線に養生をして、 木々と共生をしている。 道路管理者の区も道を覆う樹木を黙認している。 緑が多いからウグイスを始めさまざまな小鳥たちがこのまちを訪れる。 当然虫も多い。 夏になると街灯に集まる虫を求めて、 コオモリが飛びかう。 道に心地よい日陰を造り出す木々は、 また大量の落葉を生み、 夏の終わり頃から冬の初めまで毎日道の落葉掃きは欠かせない。 高齢者にはかなりの負担となる。 時々チャドクガが大量に発生して大騒ぎになる。


にわ

 家は緑の壁に囲まれている。 家を建てるとき一本の木も切らなかった。 西日を防ぎ、 建物の壁が受熱しないように計画したつもりだったが、 2階部分は効果は上がっていない。 日除けのために植えたモウソウチクが台風のとき隣家の瓦を払い落としてしまった事があって、 上を切ってしまったことも原因している。 竹があるから筍がとれる。 毎年2人が食べるくらいはとれる。 ミヨウガやフキも庭にある。 わが家のオオシマザクラの枝が隣家の駐車場を覆っている。 隣家の主人は「このまちではサクラの事では文句が言えませんから」と寛容である。 木が多いから蚊が多い。 一寸庭にでるにも虫除けが必要である。 落葉が多いからミミズも多い。 夏になると虫を食べにヒキガエルが庭に来る。 たまにはヘビも見かける。 庭にはアゲハチョウを初めアオスジアゲハ、 クロアゲハなどの大型の蝶が訪れる。 毎年秋の終わりから春まで、 キジバトの番いが庭の木をねぐらとしている。 そのため下は糞の山となる。 鳩の糞掃除がこの頃の日課となる。


いえ

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2階のバルコニー
 私の机は西側の緑の壁に面している。 窓からバードウォッチができる。 机の引き出しには、 すぐ取り出せるところに双眼鏡が入れてある。 部屋からバルコニーに出ることができる。 そこは緑の壁で外と隔てられ、 さまざまなハーブの花に占領されている。 花に囲まれて飲むビールは一寸したリゾート気分だ。 バルコニーは乾くから夏場は1日2回の水やりが欠かせない。 花を求めて蝶をはじめさまざまな虫が集まってくる。 時々花が丸坊主になる。 小さなイモムシがついている。 蝶たちの忘れ形見だ。 夏の夜1階のガラス窓に虫を求めてヤモリが来る。 虫を追って走り回るヤモリに夫婦でエールを送る。 家の中ではワイフが飼っているインコを部屋に放すので、 あちこちに糞はするしいろいろなものを齧ってしまうので、 これとの共生が大変だ。


ゆめ

 この家に10年住んでみていろいろ不具合も見つかった。 これからのゆめはソーラーシステム、 2階の壁の緑化、 簡単な雨水貯留システムを造ることなどなど…。

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