NEXT 21の居住実験
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技術の優秀性と景観バランスについて

地域計画建築研究所 堀口浩司

改行マーク景観とデザインについては、 今鳴海先生がおっしゃったような感想を私も持ちました。 私は普段、 都市計画の立場から土地利用誘導や景観誘導の仕事を手がけておりますので、 その観点から感想を述べてみます。

改行マークこの建物は300%の容積率の所に275%で建っており、 都心のマンションとしては普通の使い方で、 そんなに贅沢に土地を使ったという印象ではありません。 けっこう密度の高いマンションになっています。

改行マークところでまだ国会には通っていないのですが、 2000年の春以降から容積率の移転が出来るようになると聞いています。 アメリカで歴史的建造物を保存するために余った容積率を他に転売できるTDRという手法があるのですが、 それに類することを日本でもやろうとしているわけです。

改行マーク容積率の本質は街が持っている都市環境のインフラから建物の容量を規定するものです。 そう考えると、 NEXT 21はCO2の排出量が普通のビルの3割ほどだし、 熱の使用効率も76%と、 エネルギーを効率よく使っています。 また普通のビルに比べてあまり排熱していませんから、 ヒートアイランド現象にも対応している。 つまりNEXT 21は都市の環境容量に対してあまり負荷をかけない建物です。 ですからもっと容積率をアップしても良いのではないかという考え方が、 理論的には成立します。

改行マークしかし、 これは都市計画の技術的な側面であり、 仮にNEXT 21が倍の高さ、 6階とか12階になったとすると、 環境に負荷を与えなくても景観的にどうかという問題があります。 住まい方や建物の作り方の要素以外にも極めて実験的な側面が強い建物ですから、 この建物が街の中に二つ、 三つと並んでいくと、 まだまだ考えるべき問題はあると感じました。

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