都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案について
平成12年3月
建設省
1 今回の都市計画制度改正の趣旨及び効果
活力ある中心市街地の再生と豊かな田園環境の下でのゆとりある居住を実現することこそ今後の街づくりの目標・理念。 このため、 街づくりの手段である都市計画制度についても、 地域の自主性を尊重し、 地域特性を活かせる使い勝手のよい仕組みとなるよう抜本的に見直す。 具体的には、 貴重な土地を有効利用するため緩和すべきは緩和する一方、 良好な生活環境を保全するため、 規制すべきは規制し、 地域の実情に応じたメリハリのきいた運用が可能となる制度構成に改める方向で見直すもの。
2 制度改正の基本的方向
郊外部を対象とする制度改正の方向=良好な田園環境でのゆとりある居住の実現
(1)線引き・開発許可制度の見直し
(2)非農引き白地地域を対象とした制度の見直し
(3)都市計画区域外を対象とした制度の見直し
(2)中心市街地を対象とする制度改正の方向=土地有効利用と活力ある都市の核づくり
(1)商業地域内の一定の地区において、 関係権利者の合意に基づき、 他の敷地の未利用容積を活用する。
(2)密集市街地等で老朽建築物の建替を促進するため建ぺい率規制を緩和する。
(3)土地利用と施設整備を一体的に計画し、 良好な環境を形成・保持するため、 地区計画の適用を一般化する。
1.都市計画に関するマスターブランの充実、
線引き制度及び開発許可制度の見直し
○目指すべき都市像を都市計画マスタープランとして明示することにより、 都市づくりに対する合意形成の促進と分かりやすい都市計画体系を実現
○線引き制度及ぴ開発許可制度を柔軟な規制が行える体系に見直すことにより、 地域の実情に応じた適正かつ合理的な土地利用を実現
(1)都市計画に関するマスタープランの充実
都市計画マスタープランを拡充し、 すべての都市計画区域で策定
(2)線引き制度及び開発許可制度の見直し
@i)線引きするか否かを、 原則として、 都道府県が判断(都市計画マスタープランにおいて決定)
図1
ii)市街化調整区域について、 農林漁業との調和を図りつつ、 一定の要件を満たす区域を定め、 住宅等の立地を可能に(併せて、 線引き時点で既に宅地であった土地における建築行為の特例を合理化)
iii)開発行為の技術基準について、 条例による強化又は緩和、 最低敷地規模に関する規制の付加を可能に
図2
2.良好な環境の確保のための制度の充実
市街地や郊外部に残された緑地等の保全を図るとともに、 用途地域の指定のない地域における建築物の用途・形態を土地利用の状況に応じて規制することにより、 無秩序な農地の改廃を防止し、 良好な環境を確保
(1)小規模な風致地区の決定権限及びその規定内容を定める条例の制定権限を都道府県から市町村に委譲
(2)非線引き白地地域(非線引き都市計画区域のうちの用途地域の指定のない地域)において、 「特定用途制限地域」を定め、 特定の用途の建築物の建築を制限
(3)用途地域の指定のない区域において、 土地利用の状況に応じ、 特定行政都庁が容積率・建ぺい率等を選択
図3 非線引き白地地域における土地利用規制
3.既成市街地の再整備のための新たな制度の導入
都市機能が集積する既成市街地において、 容積率・建ぺい率制限の柔軟な適用による建築物の更新、 都市施設の立体的整備による空間の複合的利用により、 土地の有効高度利用を実現。
(1)商業地域内の一定の地区において、 関係権利者の合意に基づき、 他の敷地の未利用容積を活用。
図4
(2)隣地側に壁面線の指定などがある建築物について、 許可により建ぺい率制限を緩和。
図5
(3)道路、 河川等の都市施設を整備する立体的な範囲を都市計画に決定
(4)地区計画の策定対象地域を拡大
4.都市計画区域外における開発行為
及び建築行為に対する規制の導入
都市計画区域外に拡大している都市的土地利用に対し、 用途の混在や無秩序な農地の改廃を防止し、 景観の維持等を図るとともに、 宅地としての最低基準を確保するため、 開発・建築行為に対して必要な規制を実施
(1)相当数の住居等の建築が現に行われている等の地域について、 農林漁業との調和を図りつつ、 市町村が「準都市計画区域」を指定し、 用途地域等の土地利用に関する都市計画を決定。
(2)都市計画区域外の一定規模以上の開発行為について、 開発許可制度を適用。
図6
図7
5.都市計画の決定システムの合理化
行政のアカウンタビリティーの工場や透明性の確保、 住民参画の要請に応えるため、 都市計画決定手続きについて一層の透明化を図るとともに、 地域住民の意向の反映を図る方法で拡充。
(1)都市計画図書に併せ、 都市計画を定める理由を記載。
(2)都市計画の案の作成に係わる都道府県と市町村の役割分担を明確化。
都道府県から市町村:都市計画の案の作成に必要な資料の提供を要請。
市町村から都道府県:都道府県の決定に係わる都市計画の案を申し出。
(3)市町村の条例で定めるところにより、 地域住民から市町村に対し、 地域計画等の案の作成の申し出。
図8
前に 目次へ 次へ
このページへのご意見はJUDIへ
(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai
学芸出版社ホームページへ