都市環境デザインを目指す若者集まれ
左三角
前に 上三角目次へ 三角印次へ

倉敷の仕事〜浦辺建築事務所時代

画像ue001
岡山県倉敷市の運河
改行マーク岡山の倉敷市です。 高度成長期の頃、 昭和46年に今のJRである旧国鉄がディスカバーJAPANというキャンペーンを行ったことがあります。 日本を見直そうという風潮がその頃から生まれ、 古い町並みが観光資源になることから保存しようという動きが出ていました。 戦後の日本はそれまで、 アメリカに追いつけとばかりに古いものをどんどん壊してきたのですが、 それへの反省が出てきたということかもしれません。 そうした時代の流れの中で浮かび上がってきた街の一つが倉敷です。 古い町並みを誇れる土地で、 写真は街を流れる運河です。

画像ue002
倉敷の重要伝統的建造物群保存地区(伝建地区)
改行マーク色塗りされている地区が、 国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されているエリアです。 ここにたくさんの古い町家が残されています。

画像ue003
伝建地区の一角(倉敷考古館)
改行マーク街の一角にある建物です。

改行マーク実を言うと、 この頃私がやりたかったのはこんな事ではなくて、 もっとモダンでインターナショナルな建物のデザインでした。 でも所属していた事務所は、 建築家の浦辺鎮太郎が倉敷出身の建築家で、 倉敷という地域に根ざした建物をつくることをポリシーとしていた人でしたので、 私もどういうわけかこうした古い建物の保存に情熱を傾ける羽目になったわけです。 で、 やっているうちに個々の建物だけでなく、 街のあり方そのものも考えるようになってきたのです。 建築家は自分のナルシズムにひたってやっていくものではなく、 非常に社会的な存在だと思いました。

画像ue004
大原家の建物(国重文)
改行マーク倉敷のまちづくりでは、 倉敷紡績の創立者である大原家が始めたのですが、 戦前から商売だけでなく社会運動的なことをやっていたのです。 倉敷の町並みがいい形で残っていたのも、 そうした先人の業績があってのことです。 これは大原家の建物(国の重文)です。

画像ue005
大原美術館本館
改行マークこうした古い町並みの中に突然現れるギリシア神殿風の建物が、 大原美術館です。 大原家が集めた美術コレクションがもとになって作られた美術館で、 昭和5年の創建です。 印象派のコレクションで有名ですが、 日本人がまだ西洋の絵にさほど関心を持たなかった戦前に集められたものです。 ディスカバーJAPANで倉敷が有名になって以来、 倉敷観光の目玉として年間百万人の入館者をあつめる美術館になっています。

画像ue007
ローテンブルクの町並み
改行マーク私の師匠である浦辺鎮太郎が大原家の当主と同窓同郷だったことから、 倉敷の仕事をたくさんしていました。 当時の大原さんが好きだったのが、 ドイツにあるこのローテンブルクの町並みです。 古い城塞都市ですが町並みが良く保存されていて、 倉敷もこれに負けない街にしたいという思いがあったようです。

画像ue009
大原美術館の分館と倉敷国際ホール
改行マークこれは大原美術館の分館で、 蔵を改造して展示館にしたものです。 後ろに見えるのも、 浦辺設計で手がけた倉敷国際ホテルです。 地方都市に過ぎない倉敷市で国際ホテルを作ろうと主張したのも大原さんです。 この建物は建築学会賞をもらいました。

画像ue010
倉敷アイビースクエア
改行マーク赤煉瓦で出来ていた古い紡績工場を改修してホテルにした建物です。 外国ではすでによく使われていた手法ですが日本では当時珍しく、 改修工事の草分けと言われました。 日本的な町並みの中にこういうのがあるのは景観的におかしいのかもしれませんが、 これも時代が許す結果になりました。 ここもアンアン・ノンノという雑誌が取り上げ、 一躍観光名所になりました。

画像ue011
大原総一郎さんの像
改行マーク大原さんの像です。

画像ue012
倉敷市庁舎
改行マーク浦辺鎮太郎さんが設計した倉敷市役所です。 もともとは丹下健三さんが設計した市役所があったのですが、 それとは別に作り直しました。 浦辺さんの思いは分かるのですが、 今時塔を作って良いのかと言われ、 カップルがラブホテルと間違ったという逸話もあるそうです。 これは伝建地区から離れた郊外にあります。

画像ue013
三越倉敷川館
改行マーク浦辺設計を辞める直前に、 ようやく新築の設計を任されたのが左側の建物です。 新しいデザインをするのではなく、 いかに古い建物に見せるかに苦心しました。

画像ue014
(同上)路地の奥
改行マークしかし、 裏へ回るとRCでモダンな建物が建っています。

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ


このページへのご意見はJUDI

(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai

JUDIホームページへ
学芸出版社ホームページへ