海外からの依頼〜ベトナムの仕事
足助町の仕事を続けていると、 今度はベトナムから同じようなことをしてくれないかという依頼が舞い込んできました。 これは日本のODAによる国連の仕事です。 5年ぐらい前の話になるのですが、 ODA調査団の一員としてベトナムに行って来ました。 ベトナムでも足助屋敷のような伝統工芸の実演施設を作りたいという話があったのです。
一緒に行ったコンサルタントの人からは、 シンボルとなるような立派な施設を作って欲しいという話をされましたが、 ベトナムへ行くとそんなものを作らなくても、 日本とは違ってまだまだ古い町並みや人間らしい空間がたくさん残っているのです。 実に味わい深い空間ですから、 ぜひこれをベースに作るべきだと思いました。
そこで、 今ある村を活かしたものを作ろうと提案しました。 せめて立派な施設の案も別に作って欲しいという要請はありましたが、 時間もなかったのでこの案一本でいったのですが、 面白いことにベトナムの人も、 立派な施設よりもそっちの方がいいと言ってくださったそうです。 私は実を言うと、 インターナショナルでシンボリックなものを望まれるかと思っていたのですが、 おそらくベトナムの人たちは先進国が犯してきたまちづくりの失敗をよく知っているからこそ、 そういう選択をしたのではないかと思っています。
シンガポールも以前はたくさんあった華僑の町並みをどんどん壊して、 最後に残った一角を保存地区にしたりしていますが、 そうなる以前に残そうと判断する力があるのだなと思いました。