行ってみたい大阪・船場
左三角
前に 上三角目次へ 三角印次へ

 

3 既成市街地ワーキング

 

(1) 概要

 船場については、 鳴海先生、 田端先生、 江川先生に入っていただき、 大阪市計画調整局、 都市工学情報センター、 都市公団、 公益三社とコンサルタントの方々、 さらに特別にOUR都市開発機構と環境開発研究所にも参加いただいて研究を進めました。


(2) 内容

画像img008
図2 既成市街地WGの研究内容
 今年の1月から6月の半年という限られた時間、 限られた予算の中での研究でしたので、 十分なことができたのかどうか、 あまり自信はありません。 また『再生』という言葉がいいのかどうかも分かりません。

 最初の3ヶ月で、 文献を中心に船場の歴史や船場の現状を調査し、 既往の研究も調べ、 船場で活動しているグループや船場に詳しい不動産業の方にヒアリングも行い、 さらに先進事例を調べました。 それに並行して、 現代計画で新しいかたちの検討を行っていただきました。

 3月の末に中間報告を行い、 それに基づいて4月から再生のためのアクションの検討を行いました。 それから4月、 5月の2ヶ月ぐらいで、 遅ればせながら船場の現地調査を行いました。 それを踏まえて新しいかたちの提案を行い、 7月の始めに最終報告をまとめました。


(3) 視点

 つづいて研究の視点について私の個人的な思いも含めてご説明いたします。 まず第一点目は、 「既成」市街地の再生ということから、 そこにある歴史、 あるいは現状のかたちや活動などを押さえるべきである、 ということです。

 二点目は、 船場らしさの追求です。 ヨーロッパの都市では、 その都市の“Old Town”と言えるエリアがあり、 市民はその“Old Town”に誇りをもち、 我々がその都市を訪れた時には、 まずは“Old Town”に案内されると思います。 ところが大阪の場合どこに案内するのか、 大阪に“Old Town”はあるのかが議論になりました。 ないのであれば、 大阪の“Old Town”をつくろうという思いで、 船場らしさを出していきたいと考えました。

 三点目は、 かたちや計画を作るだけでなく仕組みもつくろうということです。 まちづくりのプログラムと言えるような仕掛けや、 ネットワーク、 情報発信もテーマとして取り上げました。

 最後は持続可能性です。 「sustainable development」は環境に配慮したまちづくりと捉えられがちですが、 我々は環境プラス経済的にも持続可能なまち、 経済的持続可能性ということを考えました。 これから投資余力が減少し、 大きな開発や一気に進める開発はなかなか難しいと思います。 そこで、 段階的な取り組み、 仮設的な取り組み、 あるいは既存ストックの活用が大切であると考え、 その点からも持続可能性を追求しました。

 この4点がポイントです。


(4) 対象エリア

画像img010
図3 対象エリア
 対象は、 御堂筋、 堺筋、 土佐堀通り、 長堀通りに囲まれたいわゆる船場といわれる地域です。 このエリアの全体を調査の対象にしました。

 東西の道路は「通り」と呼ばれ、 昔、 大阪城に通じるメインの通りでした。 南北の道路は「筋」と呼ばれ、 通りに対する横町という位置づけです。 現在でも非常に幅員が狭かったり、 まっすぐに通ってないところもあります。

 町は通りに面した両側町で東西に長く、 例えば北浜とかその次の今橋とか、 東西の通りの両側が同じ町名になっています。 それらが一丁目・二丁目・三丁目……というように並んでまちの骨格になっています。

 真ん中に、 筋の中でも特徴的な三休橋筋があります。

 この調査対象エリアの内、 図3の点線で示したエリア、 幹線道路の一皮内側の中低層のまちなみも残っている地区を主な対象として取り上げました。

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ


このページへのご意見はJUDI

(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai

JUDIホームページへ
学芸出版社ホームページへ