行ってみたい大阪・船場
左三角
前に 上三角目次へ 三角印次へ

 

2 『かた』から『かたち』への連続性

 

 もう一つの話は、 「『かた』から『かたち』へ」という問題です。

 今日の船場への様々な提案のうち、 ハードな「かたち」のはなしとしてお話した部分ですが、 実際に実現するとなると、 これはまだ、 『かた』の段階だということです。 補足して言うならば、 『かた』とは理論とか理屈のことであり、 『かたち』とはそれが具現化されたもののことです。 今までの効率主義の開発は、 『かた』のために現状の敷地を変えて形に整えてきました。 しかし、 私は『かた』を『かたち』にするときに、 もっといろんなものが間に入らねばならないと考えています。

 そこで重要なのは、 「場所」という視点だと思いますが、 対象の場所だけを考えていてはダメだと思っています。 一つの場所のことを考えるとき、 その場所に含まれる「みんながもっている共生観」や「全体像」「宇宙観」が認識できるかどうか。 その上で、 その場所の独自性を考えることが重要だと考えます。 そういう発想があれば、 以前JUDIフォーラムで話題となったディズニーランダイゼーションや訳の分からない間違った地域主義は出てこないと思います。

 つまり、 その場所だからこそ出来る形、 あるいはその場所にしか出来ない形を生み出せるように、 『かた』を変えていく必要があるのです。 繰り返しになりますが、 その要素は物理的な場所だけを考えていくのではなく、 社会の状況や課題、 経済状況をどんどん取り込んでいくことです。 もっと言えば、 個人の事情、 建設会社の事情、 コンサルの事情など全ての「個」に視点をあてて、 そこから具現化していくのです。 そのためにはみんなが共有できる「共生観」が必要だろうと思います。

 今回の報告は、 現実にある船場という場所をふまえた提案ではありましたが、 『かた』の段階を具現化し、 『かたち』にしていくためには、 みんなが納得できる共生観を持ち、 船場に関わる一人一人の事情と対応しながら、 船場にしかないものを積み重ねていく必要があるのではないか、 と思っています。

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ


このページへのご意見はJUDI

(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai

JUDIホームページへ
学芸出版社ホームページへ