後藤(GU):
地域の活性化とか再生と聞くと、 私には「地域間競争」と聞こえてしまうんです。 競争であるならば、 よその地区に負けてしまってはダメです。 例えば、 大阪駅前の再開発ゾーンと茶屋町の再開発ではどっちが魅力的かと問えば、 大阪市役所の人がおられたらごめんなさいですが、 間違いなく茶屋町の圧勝です。 では、 茶屋町と船場のまちづくりではどうか。 もしも茶屋町に負けたら船場に人が来ることはないでしょう。
主体ということで言えば、 茶屋町の場合は会社組織がホストになって、 もう二十何年もまちづくりに取り組んでいます。 船場では誰がホストだといえるのでしょうか。 ホストがないところで何年取り組んでも、 実現は難しいと思います。
神戸を例にとると、 地域間競争で一番勝っているのは南京町、 次が居留地、 そして岡本です。 これら「勝ったところ」には、 必ずまちづくりを強力に進めていく主体があります。 いずれも「よそには負けたくない、 勝ちたい」という強い意欲(欲望と言ってもいいでしょう)があったからこそ、 まちはよくなったのです。
今日の報告は非常に貴重だし面白いんですが、 私が気になるのは、 この呼びかけで「私がホストになる」と名乗り出るオーナーがいるのかということです。
また、 まちのスケールも気になります。 神戸から大阪のまちを見ると、 一番活気がありそうなのはアメリカ村です。 アメリカ村はあの小さいスケールだからこそ、 まちのオーナー達もまとまりやすかったと思うのです。 船場と一言で言っても、 その範囲はかなり広いわけですから、 もう少しまちづくりのスケールを絞りながら具体的なホストをつかまえていく必要があるんじゃないでしょうか。 そうしないと、 それこそ空論に終わってしまうのではないかと感じました。
面白いと思ったことは、 「船場建築線」という固有名詞です。 神戸の居留地でも「ポルティコ」を作ることを協定で定めていますが、 そこにしかない独特の空間づくりができれば魅力につながっていくと思います。
私の見方で言えば、 とにかくホストを先に作り、 試行錯誤していく中で形を見つけていくのが重要ではないかと思います。
おっしゃるとおりです。 確かに茶屋町では核になる大企業がまちづくりの中心になっていますし、 アメリカ村は自然発生的な動きが周囲へ波及して一つのまちを作り上げていきました。
船場は大小様々の企業が集まっている場所ですので、 まずは多くの地権者、 権利者を動かす仕組みが必要だと考え、 今日のような提案になりました。
後藤さんが言われた「スケールを絞り、 具体的なホストを見つける」ことは確かに必要だと思います。 研究会の次の段階では、 そうした取り組みも必要かと思います。
梶木:
船場も結構広くて、 後藤さんのご指摘のようにひとかたまりで捉えて良いものかという疑問は個人的にも思っています。 北浜は証券会社関係、 道修町は薬関係のメーカー、 問屋と同業者で集まっている筋がいくつかありますので、 その単位ごとのまちづくりが可能ではないかと考えています。 BIDでも同業者同士だったら、 組織化もやりやすいでしょう。 それをベースにして、 オーナーのかたまりとしてホストをつくることもできるのではないでしょうか。
勝ちたいという主体がないと空論では
今日のテーマは面白そうだったので、 わざわざ神戸から来てみました。 しかし、 ちょっと違ったなと感じます。
スケールを絞り、 具体的なホストを見つたい
篠原:
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