鳴海(大阪大学):
ニューヨークの公共住宅についてですが、 先ほどお話の中に出てきた「放棄された住宅10万戸」の中に、 公共住宅も入っていたのですか。
平山:
いえ、 入っていません。 ニューヨークの公共住宅はアメリカの中で一番管理がよくて、 今もちゃんと機能しています。 アメリカの公共住宅の中では例外的な存在です。 理由の一つには需要があることと、 プランニングがよその公共住宅に比べたらましだということです。
もうひとつ大きな理由として、 最底辺の人たちやホームレスの入居を制限していることもあります。 これについてはニューヨーク市と公共住宅を管理する公共住宅庁が激しく争っています。 お互いに「ホームレスの面倒はそっちで見てくれ」と押しつけあった結果、 ホームレスはインレムが面倒を見ることになったんです。 ですから公共住宅にホームレスはなかなか入れないのですが、 それが良質な団地を維持する秘訣だと言われています。
公共住宅の荒廃がひどいのは、 セントルイス、 シカゴ、 ワシントンの一部です。 ニューヨークの公共住宅も問題がゼロではありませんが、 アメリカ全体から見るとかなり良好だと評価されています。
ニューヨークの公共住宅は
どうなっているか
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